膨大な数のウェブサイトの中で、完読される文章を目指す

――書籍紹介『新しい文章力の教室』

2016/02/17
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新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング
著者:唐木 元
発行:インプレス
出版年月日:2015/8/11
価格1,300円 (税別)
ISBN 978-4-8443-3872-7

文:編集部 K.M

コーポレートサイトに始まり、オウンドメディア、ネットストアの商品紹介など、デジタルマーケティングの一環として「インターネットで発信する」という経験をした担当者は多いだろう。 作成したコンテンツやウェブページが、検索やネット広告、SNSからの流入により、多くのアクセス数を記録したこともあるかもしれない。しかし日夜無数のウェブページが生まれ、絶え間なく情報が供給されているいま、発信した情報はどれほど真に読まれ、理解されているのだろう。

本書は、月3000本以上の記事を配信するニュースサイト「ナタリー」の元編集長であり、新入社員向け社内トレーニングの講師でもある唐木元氏が、「文章が書けない」と悩むすべての人のために書いたものである。 主旨は一貫して「完読される文章を書く」こと。良い文章の条件を、例えば「わかりやすい」「うんざりしない」「得した気分になる」等々挙げたとして、その回答をすべて内包するマジックワードは「完読」だ、と説いている。特に、読むことに疲れたらすぐ離脱できてしまうウェブページにおいて、完読はひとつの大きな到達点。裏を返せば、読ませるウェブコンテンツを展開できることが、競走優位に立てるポイントであると言えるが、コンテンツ作成の際、完読してもらえることにどれほど留意できているだろうか。

文章は取り返しのつかない順序で積み重なっている

唐木氏は、文章は「事実・ロジック・言葉づかいの3層構造」であり、それらは下から、事実、ロジック、言葉づかいと、ピラミッドのように「取り返しのつかない順序で積み重なっている」と言う。どれだけ言葉づかいが美しくても事実誤認があれば実用文としては成立せず、ロジックが破綻している文章を言葉づかいで挽回することもまた、不可能なのだ。

出典:『新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング (できるビジネス) 』 唐木 元(著)インプレス発行

出典:『新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング (できるビジネス) 』
唐木 元(著)インプレス発行

全5章のうち、第1章では文章が書けるようになるための要とも言える「事実・ロジック」を、残りの第2~5章では完読に近づけるための「言葉づかい」を学ぶ構成になっている。文章を構成する際に比重の大きい「事実・ロジック」の部分を第1章のみで終わらせてしまうのはおかしいじゃないかと思う人がいるかもしれない。しかし、第1章で学べる基本さえマスターすれば、あとは慣れるまで繰り返すだけで、まずは読める文章を書けるようになるという意味でもある。

すぐに使える「構造シート」で構想を可視化。完読される文章にブラッシュアップ

第1章では、文章の基本マスターのため、「構造シート」を用いた簡単で実践的な方法を紹介している。今すぐ取り掛かれる内容だ。構造シートはPCを使わずに必ず手書きする、など本書のやり方にきちんと従いながら作成していけば、初心者でもすんなりと構成ができるようになり、短い時間ですっきりした文章に仕上がる。ある程度文章を書いてきた人も、構造シートを用いることでこれまで頭の中で組み立ててきた構成を可視化でき、よりスマートな文章作成を実現できるだろう。

構造シートを活用し一通りの文章を書き上げたら、より完読に近づくために次の第2~5章を参照し、「言葉づかい」をブラッシュアップしていけば良い。自分の書いた文章が小学生の作文のような印象を受けるなら、文末にバリエーションがないのかもしれないし、冗長に感じてしまうのなら余計な単語が多すぎるのかもしれない。読み返して直し(第2章)、もっと明快に(第3章)、もっとスムーズに(第4章)と改善し、読んでもらえるよう工夫して(第5章)、完読される文章を目指そう。 本書は陥りやすいパターンが項目ごとにまとめられているので、該当するポイントでチェックするのも良いだろう。ズバリ完読のための答えというものは存在しないが、まずは本書を指針として推敲を重ねることをおすすめしたい。

なお、本書のコラムでは、ナタリーのメディアポリシーが紹介されている。星の数ほどのウェブメディアがある中で、ナタリーが選ばれSNSでシェアされるのは何故か。そこには「完読」とはまた別の理由が隠されていることが読み取れる。デジタルマーケティングのひとつの参考として、読んで損はないだろう。

これまで本書の内容を紹介してきたが、この文章を構成する際にもしっかりと「構造シート」を使わせていただいた。もちろん推敲の際の参考にもしている。どこまで活用できているかは、ぜひ本書を読んで確かめてほしい。 

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