アメリカのIT文化を遡る

──書籍紹介『ハッカーズ』

2016/04/22
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ハッカーズ
著者:スティーブン・レビー
発行:工学社
出版年月日:1987年3月5日
価格2,700円 (税別)
ISBN 978-4875931003

文:大下文輔

コンピュータに未来を感じ、自分たちのためのコンピュータを自ら創ろう、自分たちのゲームを創ろうとしたハッカーたちの人間模様をつぶさに記録したドキュメンタリー。アメリカの「オタク文化」と言うべきものがこの本に色濃く出ている。インターネットがまだなかった時代の物語だが、その精神は今に生き続けている。それが「ハッカー倫理」だ。その1つ、「芸術や美をコンピュータで作り出すことは可能である」などは今にしてみれば当たり前だが、(ミニコンピュータと呼ばれていたものも含めて)大型コンピュータ中心のコンピューティング世界ではかなりぶっ飛んだ発想だったのだ。「コンピュータは人生をよりよい方に変えうる」という考えも同様に斬新だった。
622ページ、本文は2段組という大著だが、読み始めると止まらない面白さがある。それは著者がこの本を書こうとした動機とも重なるが、ハッカーという一群の人たちの人間的魅力による。アメリカのITビジネスと何らかの関わりを持つ技術者、ビジネスマン(ということは日本のほぼすべての若者)におすすめの一冊である。ジョン・マッカーシー、マーヴィン・ミンスキーといった人工知能の開祖というべき人も登場するほか、ビル・ゲイツやスティーブ・ウォズニアックなどを含む大勢のハッカーについて描かれているが、彼らと同時期に活動はしていたものの、スティーブ・ジョブズはハッカーと認められていない。周辺にいた一人でしかなかったのだ。

 

記事執筆者プロフィール

株式会社スペースシップ アドバイザー 大下 文輔(Bun Oshita)

 

株式会社スペースシップ アドバイザー 大下 文輔(Bun Oshita)

大学では知覚心理学を専攻。外資系および国内の広告代理店に18年在籍。メディアプランニング、アカウントプランニング、戦略プランニング、広告効果測定のためのマーケットモデリング、マーケティングリサーチの仕事に従事する。またその間、ゲーム会社にてプロダクトマーケティング、ビジネスアライアンスに携わるとともに、プロジェクトマネージャーとしてISPやネットワークビジネスの立ち上げに参画。
2011年よりフリーランスとなり、マーケティングリサーチやコンサルテーションを行っている。2015年12月よりMarketingBase運営の株式会社スペースシップ アドバイザーに就任。

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