モノが売れない時代に「売れ続ける仕組み」をつくる、顧客中心主義の実践書

――書籍紹介『カスタマーセントリック思考 ―真の課題発見が市場をつくる―』

2016/10/06
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カスタマーセントリック思考
編著者:藤田康人
著者:三宅隆之、村澤典知
発行:宣伝会議
出版年月日:2016/7/5
価格1,600円(税別)
ISBN 978-4-88335-365-1

文:編集部 K.M

マス広告を打ち、顕在化したニーズを刈り取るだけで十分だった時代は、とうの昔に終わった。消費者の情報収集経路が多様化したことでマス広告の影響力は分散し、多くの市場は飽和状態となり成熟している。マーケティングの考え方、やり方も当然変化せざるを得ない状況だ。

ところがこのモノが売れない時代と言われるようになったいまでも、マーケターの多くが同カテゴリの他社製品と自社製品の優位性を見比べながら、「既存市場で顕在化しているニーズをいかに効率的に刈り取るか」に終始しているという。
市場の成熟化に加え、商品の機能競争も行き着くところまで行き、これまでのやり方では「売れ続ける仕組み」にほど遠いことは、火を見るより明らかだ。

本書はまず、現在のモノが売れない時代を多方面から分析したうえで、いま売れ続ける仕組みをつくるためには、なぜ「カスタマーセントリック(顧客中心主義)」への転換が必要なのかを説く。
ここでもまた誤解がある。カスタマーセントリックとは、消費者の言いなりになることとは違う。消費者をよく知るのは当然のことながら、ときに消費者本人すらも知りえない潜在ニーズを発見し、それに基づいて企業としてやるべきことの指針を決め、それを具体的な施策に落とし込んでいくことが本当のカスタマーセントリックなのだと。

本書は、日本型マーケティングの勘違いを指摘したIntroductionに始まり、Chapter1ではマーケティングを取り巻く変化を、Chapter2では企業のマーケターが自社の課題をとらえることの難しさと重要性を、続くChapter3~7では実際の事例を交えながら具体的な実践方法をわかりやすく教えてくれる。
著者であるインテグレートの藤田康人氏が、これまでの成功経験や失敗経験をもとに試行錯誤して確立してきた手法が書かれているため、とても説得力のある内容となっている。

このマーケティング激動時代、マーケターのやるべきことは山積みだ。
しかしこの一冊を読めば、まず現在に必要とされるマーケティングへの理解、そして自社の抱える「問題」から真の「課題」の発見、その課題解決のための正しい施策の選択、さらには消費者のニーズを喚起し購買につなげるためのストーリーづくり、ストーリーを具現化するためのステークホルダーの動かし方など、現在のマーケティングに必要な視点や具体的な施策への落とし込み方が把握できる。
自社の直面する問題に対し、まずなにをすべきかわからないというマーケターも、最初に打つべき一手をクリアにすることができるだろう。

本書はタイトルに「思考」と銘打ってはいるが、内容は単なる考え方の紹介書ではなく、カスタマーセントリック思考をベースにしたマーケティングの実践書である。

 

<目次>

Introduction 売れ続けるための仕組みをつくるというイノベーション
Chapter1 機能不全に陥った、日本企業“マーケティング”のなぜ?
Chapter2 あなたは、本当にマーケティングの「課題」に気づいていますか?
Chapter3 モノが売れない時代に必要な戦略企画「2つのステップ」
Chapter4 生活欲求×購買欲求で「売りにつながる」ストーリーをつくる4つのポイント
Chapter5 PDCAを回して小さな仮説を魅力的なストーリーに昇華させる!
Chapter6 デジタル&データを、売れるストーリーづくりに活かす!
Chapter7 ストーリーに巻き込むべき、最強の敵は社内他部門!?

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