オムニチャネル(Omni Channel)とは

2018/04/03
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オムニチャネルとは(オムニチャネルの意味)

「オムニチャネル(Omni Channel)」とは、オフライン/オンラインを問わず、企業が展開する複数のチャネルにおいて、それらすべてを顧客(消費者)視点で統合することで、よりスムースな購入体験を提供しようという考え方だ。
顧客の購入体験における利便性を最大化する施策だとも言い換えられるだろう。

「オムニ(Omni)」とは「すべての」という意味であり、商品データ、在庫データ、顧客データ、注文データなどのデータを統合し、すべてのチャネルで活用するオペレーションを構築することが基本となる。

オムニチャネルの登場背景

オムニチャネルが登場した背景には流通における環境変化がある。
それまでも小売業においては、複数のチャネルを同時展開(マルチチャネル化)することで接点を増やし顧客(あるいは潜在顧客)が感じる不便さの解消に試行錯誤してきた。
しかし、この時点では店舗販売とオンライン販売は別々のチャネルとして扱われ、一部で在庫データ連携(クロスチャネル化)がなされる場合もあったが、オムニチャネルの目指す真の統合とは異なるものだった。

この状況を激変させるきっかけになったのがスマートフォンの登場だ。
スマートフォンはオフライン/オンラインを越えて購買行動に介在するようになり、チャネルの垣根があいまいとなった。
これをきっかけに、2011年に全米小売業協会(National Retail Federation)が「Mobile Retailing Blueprint V2.0」【英語/PDF】(※1)の中で言及して以来注目されることになった。

クロスチャネルとの違いについて、信州大学大学院 経済・社会政策科学研究科 准教授の牧田幸裕氏は、「企業が消費者と接するリアル店舗やECチャネルを統合し、チャネルにまたがった購買を可能とする」ところまではクロスチャネルもオムニチャネルも同じだが、「ユーザIDの統合と顧客理解から最適な購買体験を提供する」点がオムニチャネルのみの特徴だとしている(※2)。

オムニチャネルの現状と課題

流通の現状を見渡すと、オムニチャネル施策を実現するにあたっては、大きく2つの課題が見えてくる。

1つ目はデータ統合の問題だ。これまでチャネル別で蓄積、管理されていた商品データ、顧客データを統合するためには関係部署の調整はもちろん、利用システムやデータ構造が異なっている場合もあり、簡単には統合できない可能性がある。

2つ目はオペレーションの問題である。一般的に、店舗とECは別組織で運営されており、それぞれが事業を進めているが、オムニチャネル施策は両方に影響があるため、物流や接客、データ入力などの業務が変更される可能性が高い。いかに企画が優れていても、現場が新たなオペレーションに協力し、採算が合うオペレーションフローを実施しなければ実現することはできない。

これらの課題を解決していくためには、チャネル単位での目標や成果に左右されない大局的な観点を持ち、強力に統合連携を牽引していけるマーケティング機能が必要になるだろう。その役割を既存のマーケティング部門が担うとした場合、否応なしに業務は拡大していくはずだ。

オムニチャネルの事例

具体的なオムニチャネル施策のテーマとしては、下記が挙げられる。

●ECで注文し店頭で受け取れるサービス
一般的にはECでの購入は家まで届けてもらうことが多いが、店頭でも受け取れるようにすることで、家の近くの店舗ですぐ受け取りたい、会社帰りに受け取りたいなどのニーズに対応できるようになる。また受け取り可能な店舗は必ずしも自社店舗とは限らず、提携によって実現している例もある。

●店頭や屋外からECへの誘導
店頭は、物理的な制約があり販売可能な商品数が限られるため、取扱商品すべてをその場で購入できるわけではない。そこで、店頭にECサイトへ誘導するためのQRコードを設置し、その場にない商品や在庫切れの商品でもスマートフォンを利用して購入できるようにする。また、屋外に設置したポスターなどの広告にもQRコードを設置し、ECサイトに誘導するという事例もある。

●ポイント統合による店頭への誘導
店舗とECで異なるポイント制度を展開し、それらを相互に利用できないという企業はまだ多いが、これらを統合することで、オンライン上のキャンペーンで付与したポイントを店頭で利用するといった行動を促進することができる。

●ユーザ情報の一元化による新たなアプローチの模索
店舗での購入、ECでの購入、オンラインキャンペーンへの参加など、1人のユーザに関するさまざまなデータが一元化されることで、より深い顧客分析が可能となり、その結果を活用することで、ユーザ一人ひとりにあった店頭販促やキャンペーンなどを行うことが可能になる。

 

関連情報・参考情報

※1:Mobile Retailing Blueprint V2.0【英語/PDF】
(2011/1/4 全米小売業協会(National Retail Federation))

※2:ユニクロもセブン&アイも「オムニチャネル」を掴み切れていない
(2018/1/10 Business Journal)

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