販促メールからの脱却で売上2割増

――効果を上げ続ける世田谷自然食品のCRM対策

2016/06/15
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顧客に癒しのひと時を提供するWEBサイト「せたがや日和」

健康をテーマとしたライフスタイル情報サイト「せたがや日和」。食や旅、健康法などに関するコラムを毎週更新し、中高年層を中心に人気を集めているサイトだ。運営母体は、グルコサミンや青汁などの健康食品や自然派食品、自然派化粧品の販売を行う「世田谷自然食品」。だが、「せたがや日和」には商品に関する宣伝はどこにも見当たらない。

トップ画像は淡い色彩の世田谷線のイラスト。サイトの訪問者は、興味を引かれるテーマや、美しい写真に誘われるままクリックを重ね、思い思いの時間を過ごして去っていく。デザインにも文章のトーンにもほのぼのした味わいがあり、読者の居心地のよさが伺える。

潔いほどの商売気のなさにも関わらず、CRMの一環として「せたがや日和」を立ち上げて以来、売上も順調に伸びていると言う。その秘密はどこにあるのか。立ち上げ前の企画からサイト運営に関わる入社3年目の若き編集長・中山有禎氏に話を聞いた。

たがや日和

提供するのは「商品を買っていただいた以上の価値」

「せたがや日和」がスタートしたのは約1年前。情報の側面からも顧客の健康と生活をサポートする姿勢を発信することを目的に、テーマ別のコラムを毎週更新し続けてきた。販売サイトとは一線を画すことで、良質な情報メディアとしての認知を広げている。広告色を排除することは、立ち上げ当初から一貫している方針だ。

アンケートやクリック率を元に「お客さまが読みたいと思う情報」を追求し、掲載するコンテンツを厳選している。「弊社の使命は、健康に関する商品をご提供するだけではありません。お客さまに支払っていただいているお金以上のご満足をお届けしなくてはいけない、という思いがあります。それはいったいなんだろう?と考えたことが“せたがや日和”の原点になっているんです」と中山氏。会社の理念に合わない原稿なら、掲載を見送るのもためらわない。「スケジュールに合わせるとか、穴埋めに間に合わせのコラムを載せるといった考えは全くありません」という徹底ぶりだ。

CRMの観点からはじまった「せたがや日和」だが、読み物の充実度が高いことから、今では自然流入の新規読者も着実に増えている。編集サイドのブレない姿勢が良質なコンテンツを育て、“消費者が望む価値のある情報の提供”というコンテンツマーケティング本来の目的の実現につながっているようだ。

編集長・中山有禎氏

制作会社と二人三脚で良質なコンテンツを制作

「せたがや日和」の要であるコラムは、WEB制作会社ライトアップが担当。企画提案から原稿制作まで行う。粕汁やたけのこ汁など全国津々浦々の椀物を紹介する「食」コラムや、知っているようで知らない言葉を紹介する「コトバの語源」など、この1年でヒットコンテンツも誕生した。写真を中心に3時間程度のウォーキングコースを紹介する「足まかせ散歩道」も人気だ。

「ライトアップさんはいつもおもしろいアイデアを提案してくれるので、モチベーションになります」と中山氏。現在の形ができあがるまでは紆余曲折あったが、“お客さま軸で考える”というスタンスを丁寧に制作側に伝え続けた。ライトアップはサイト立ち上げ前から関わっていることもあり、世田谷自然食品が大切にするホスピタリティや顧客に対する誠実な姿勢をよく理解している。納品物はもちろん、WEBコンテンツのトレンドや改善の施策を踏まえて行う新たな提案にも、「せたがや日和」のカラーが反映されている。

「 “せたがや日和”をイチから一緒につくってきたパートナーですので、ライトアップさんが提案してくれるものなら間違いない、という信頼感があります。私たちはその中から、お客さまにとって一番良いものを探せるのです」と中山氏は語る。コンテンツを外注する際の制作パートナー選びには、スキルやリソースの豊富さ以上に大切なことがある。それは、依頼者と同じ意識を持てるかどうかだ。サイトの運営会社と制作会社が温度感を共有できなければ、一貫性のあるコンテンツを量産することは難しい。世田谷自然食品とライトアップは、その点で理想的な関係にある。

顧客からの反響は立ち上げ当初の2倍、売上も2割増

「せたがや日和」の更新は、フェイスブックとメールマガジンで顧客に知らせている。以前は顧客とのコミュニケーションと言えば新商品やオススメ商品の宣伝が中心だったが、現在は「せたがや日和」の更新告知に方向転換した。「最初は反応が薄かったですが、徐々にクリック率が伸びてきました。今では世田谷自然食品からのメールがコンテンツ更新のお知らせだという認知が浸透したのか、クリック率は立ち上げ当初の2倍以上です」と中山氏。コラムの感想や激励、意見など反響も多く、しっかり読んでもらっている手応えを感じていると言う。これまで商品の購入者という一面しか持たなかった顧客が、“せたがや日和ファン”という顔も持つようになり、顧客との関係性に親密度が増していることを実感している。

ただ読者が定着しただけではない。コンテンツ更新の告知を続けた結果、メルマガ経由の売上は以前と比べて約20%アップした。広告色を排除しているにもかかわらず、読者はメール配信をきっかけに自ら販売サイトへ行き、商品を購入する。そんな消費者行動が浮かび上がってきた。コンテンツ更新の告知は、世田谷自然食品を思い出すきっかけとして、十分な役割を果たしているのだ。

コンテンツマーケティングは「顧客育成」ではない

CRM対策やコンテンツマーケティングは、しばしば「優良顧客の育成」という言葉で語られる。しかし、「せたがや日和」にはどこかそぐわない。違いはどこにあるのだろうか。
「難しいテクニックはあまり必要ないと思うんです」と中山氏は言う。「お客さまがどう思うのか」「お客さまが弊社にどんなことを期待しているのか」を想像しながら、手探りでつくっていくうちに、今の“せたがや日和”の形ができた。「お客さまを育てるというより、コンテンツ自体をお客さまに合わせて変えてきました。成長するのは自分たちの方で、お客さまはそのままでいい。コンテンツが育っていく中で、お客さまがいいなと思ってくれたら、コンテンツマーケティングが成功していると言えるのではないでしょうか」。

期待以上の効果を発揮している「せたがや日和」だが、「これからもこのサイトを通じて直接商品を売る気はありません」と語る中山氏。商売気はなくとも、顧客目線の良質なコンテンツを地道に更新し続けることは、確実に信頼を生み、売上を押し上げている。“お客さまのために”を優先する発想が、世田谷自然食品のブランドロイヤリティを高めた。顧客と長期的かつ良好な関係を築きたい企業にとっては、「せたがや日和」の成功パターンは参考になるのではないだろうか。

せたがや日和
http://biyori.shizensyokuhin.jp/