BtoB事業におけるコンテンツマーケティングの考え方とMA活用法

――IMJ×フライシュマン・ヒラード・ジャパン共同セミナー「BtoBマーケティング最前線」レポート

2016/11/11
  • facebookでシェア
  • twitterでシェア
  • G+1
  • はてなブックマークに追加

アイ・エム・ジェイ(以下、IMJ)とフライシュマン・ヒラード・ジャパン(以下、FHJ)は、2016年10月19日、「BtoBマーケティング最前線 ~コンテンツマーケティングとマーケティングオートメーションのご紹介~」と題したセミナーを共同開催。BtoBでのコンテンツマーケティングの考え方を事例を踏まえて解説し、マーケティングオートメーション(MA)の活用方法が示された。
IMJとFHJは2016年9月、共同でBtoB向けデジタルマーケティングプログラムを提供することを発表したばかりだ。

IMJは今年で20年目。デジタルマーケティング領域において、「クリエイティブ」「データ」「マーケティングテクノロジー」を強みに、デジタルマーケティング戦略策定、プロモーション、データ分析(データ解析・効果検証等)からオウンドメディア構築・運用、ソーシャルメディアの活用など、デジタルマーケティング支援サービスをワンストップで提供している。
FHJは2016年4月にブランドジャーナリズムを支援するスタジオを立ち上げ、社内に編集者やクリエイター、トラッキングアナリストなどを擁し、コンテンツの制作をサポートする取り組みを始めている。

人を惹き付けるコンテンツを制作するカギは「ブランドジャーナリズム」

「本日は、コンテンツマーケティングとMAという新たな切り口でお話します」と切り出したのは、FHJのシニアバイスプレジデント&パートナーを務める馬渕邦美氏だ。
ビル・ゲイツの1960年代の言葉“Content is King”を取り上げ、時代が変わってもコンテンツが魅力的でなくては人を引き寄せられないと語ったうえで、「スマートフォンが主流になり、視聴者は大量の情報を受け取るようになった一方で、重要な情報を届けるのが難しくなってきた」と述べた。

デジタルマーケティングにおけるコンテンツの重要性を説くFHJの馬渕氏

デジタルマーケティングにおけるコンテンツの重要性を説くFHJの馬渕氏

顧客に重要な情報を届け、エンゲージメントを高めていくためには、顧客の声に耳を傾けて一人ひとりを理解し、そのデータにもとづいて正しいマーケティングをすることが必要だ。

コンテンツはただ作ればいいわけではない。「“Content is stinking”とはシャレですが、きちんと価値のある情報、価値のあるコンテンツを届けなければならない」と馬渕氏。
最終的には、コンテンツマーケティングをとおしてプロダクトの需要を喚起しなければならない。しかし、プロダクトの紹介だけをしていても視聴者の興味を引かなければ意味はない。

そこで話題になっているのが「ブランドジャーナリズム」だ。ブランドジャーナリズムとは、第三者的な目線でプロダクトを見たときに、世の中に対してどう役立っているのかを考え、少し引いたところで顧客が興味を持つようなテーマを選ぶことだという。

例としてP&Gが運営するオウンドメディア「P&G Everyday」を挙げ、子どもの遠足のメニューや面談の切り抜け方など、ターゲット顧客の興味を引くようなテーマを扱いながらプロダクトの情報も載せていくことで、サイト全体として顧客との接点を毎日つくっていくコンテンツマーケティングだと紹介した。

また、ゼネラル・エレクトリック・カンパニーが運営する「GE reports」では、未来のエネルギーはどうなっていくのかなど、世の中の関心事を扱ったコンテンツを多く展開している。
このような価値あるコンテンツは他のメディアでも取り上げられ、それによりサイト全体が活性化するという好循環を生み出すようになる。

IBMも同様にコンテンツの価値に重点を置きながら、コンテンツマーケティングを展開している。主なものは、オウンドメディア「Mugendai(無限大)」やWIREDとのコラボレーションメディア「INNOVATION INSIGHTS」で、他にもBtoB系のメディアとのコラボレーションを積極的に行っている。

「Mugendai(無限大)」では環境、教育、資源など、なかには一見IBMと関係がないようなキーワードでも価値のある情報や、IBMが提唱するイノベーションなどの考え方を体現するようなストーリーを展開し、全体としてIBMのブランドイメージ向上に役立っているという。

「INNOVATION INSIGHTS」ではIBMの顧客となる技術者などに向けて、テクノロジーに焦点を当てた専門性の高いテーマでコンテンツを作成している。コンテンツ力があるため、全文を読むにはログインが必要となる仕組みだ。
ここで、マーケティングオートメーション(MA)が登場する。ログインしたユーザー情報に、閲覧したコンテンツを紐づけて、あらかじめ設定した基準にもとづいてホットリードを判定。リアルなイベントに招待して顧客が参加すれば、そこで名刺交換をしてリードジェネレーションにつなげていく。「BtoBの世界はメディアが限られているので、コンテンツマーケティングが非常に重要になる。実際にリードジェネレーションができており、これからさらに伸びていくと考えている」。

IBMでは、他にも新しい取り組みとして、「ソードアートオンライン」というソーシャルゲームの世界をVRで体験できるというイベントを企画。Twitterで参加者を募ったところ、たった1回の投稿で、募集人数200人に対し12万件の応募があった。BtoB企業のIBMとしてはチャレンジだったが、この企画をきっかけにTwitterやFacebookのフォロワーが倍以上に増え、認知獲得に大成功を収めた。
当該イベントはTwitterで1回告知を行っただけなので、広告費用としてはほとんど使っていない。このように新しいコンテンツパワーで企業のファンを増やすといった取り組みを、これからも進めていく。

「BtoBにおいても、コンテンツマーケティングを通じた顧客との対話が重要になってきている。デジタル情報の信頼性は向上しており、実に86%のビジネスパーソンがデジタル情報をもとに他の企業との違いを認識しているというデータがあります」。
最後にROIについては、ペイドサーチもある程度結果を出すのには必要としたうえで、長期的にはストックされ資産となるコンテンツの方がリードを獲得できると、コンテンツマーケティングの重要性を力説した。

FHJでは前述のスタジオにて、コンテンツ制作やクオリティコントロール、デジタル上のトラブル対策などの支援を行っている。馬渕氏は「日本企業が苦手とするストーリーテリングの部分などをサポートさせていただければ」と述べ、セッションを締めくくった。

マーケティング部門と営業部門とをつなぐためには?

2つ目のセッションに登壇したのはIMJ アカウント統括本部の鈴木滋巳氏。同氏は、BtoBマーケティングを取り巻く現状やBtoBマーケティングのあるべき姿、IMJが行うマーケティング支援について話した。

マーケティング部門と営業部門の連携強化について、丁寧に解説するIMJの鈴木氏

マーケティング部門と営業部門の連携強化について、丁寧に解説するIMJの鈴木氏

「インターネットの普及で消費者の購買形態が変わったのと同様に、BtoBの現場でも商品の購買プロセスは変わりました」と鈴木氏。従来、顧客は何かが欲しいと思った際には、営業に直接コンタクトを取って話を聞いたうえで商品を選定していた。しかし現在、欲しいものがあれば、まずはじめにインターネットを使って顧客自ら情報を探すようになった。顧客が企業に問い合わせた時点では、すでに購買プロセスの60%を終えているという。この数字は、顧客が問い合わせに至るまでの情報提供がいかに大事かを教えてくれる。

情報提供でリードを醸成し、問い合わせ、営業、そして購買という一連の流れの中で、多くの企業が課題として挙げるのがマーケティング部門と営業部門の連携だ。マーケティング担当者がインターネットやリアルイベントなどを通じて獲得したリードを営業に渡しても、営業担当者にとって単純にリストを渡されただけでは、その顧客が本当に興味を持っているのかが測れないために営業活動に意味を見いだせず、マーケティングのリードは使えないという声もしばしば聞かれる。

そうした機会損失を防ぐためにもまず挙げられるのが、マーケティングの領域でホットな見込客を特定する必要性だ。
ホットな見込客の特定を行うにあたって最初にするべきことは、「個客の見える化」だ。これは、名刺情報とオンライン上の行動履歴を結びつけることを指す。リアルのイベント参加情報やオンライン上でのページ閲覧情報を総合的にみることで、何にどこまで興味を持っているのかを判断できるようになる。

個客の興味度をオンライン上で知るために重要となるのがコンテンツ。各購買プロセスで必要となるであろう情報を購買プロセスの段階に分けて準備することで、閲覧したページによってその個客が購買プロセスのどの段階にいるのかがわかるようになる。

また、名刺情報と紐づけるためにはオンライン上で個人情報を登録してもらうことが必要となるが、その際は単に企業名や肩書きなどを入力してもらうのではなく、BUDGET(予算はどれくらいか)、AUTHORITY(決定権を持っているのか)、NEEDS(本当にその商品を必要としているのか)、TIMEFRAME(導入時期はいつか)という4つの情報(BANT情報)を把握すると、これも営業すべきかどうかの判断材料となる。

これらは一つひとつ見て判断するのではなく、それぞれをスコア化して顧客ごとに点数付けする。オンライン上の行動履歴はもちろん、その個客が実際に営業すべき企業かどうかも、属性情報をスコア化して評価する。
ただし、実際に案件化につなげるには、営業への送客タイミングを見計らうことも重要だ。スコア以外にも直近の行動履歴やBANT情報を見ながら、コンタクトに最適なタイミングを決める。

営業担当者に渡したあとも案件管理や活動管理を行って、実際に受注につながったかどうかを評価し、PDCAを回すことで見込客特定の精度を上げていく。鈴木氏は「マーケティング部門から送客されるリードの信頼性を高めていくことが、両部門間の連携を強化するうえでの重要なポイントとなる。これがBtoBのあるべき姿です」と、言葉に力を込めた。

IMJはデジタルマーケティングにおいて、リードの獲得、獲得リードの育成、有望リードの見極めなどを支援している。特に有望リードの見極めにおいては、FHJとの共同プログラムによるコンテンツ制作や、MAの導入支援を行っていく。