オンライン動画のエクスペリエンスと経済性の向上

――ブライトコーブ主催「PLAY 2017」レポート第1弾”Morning Blockbuster”

2017/08/18
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昨年に続き、ブライトコーブ主催のイベント「PLAY 2017」が、2017年7月14日に東京で開催された。「PLAY 2017」は、同社の動画プラットフォームを利用するユーザーやサービスプロバイダーが一堂に会し、動画ビジネスの最先端に触れるイベントである。そこでの数々の講演の中から、同社の戦略にかかわるスピーチと、B2B動画マーケティング最前線の2つを取り上げたい。

第1弾の本レポートでは、ブライトコーブCEO(当時)のDavid Mendels氏による”Morning Blockbuster”と題するスピーチを紹介する。同社が提供するサービスの現状と今後について語った。

ブライトコーブCEO David Mendels氏

ブライトコーブCEO David Mendels氏

「動画の進化はめざましく、高精細で長尺なビデオ、双方向ビデオなどが視聴できるようになってきています。一方でフォーマットや視聴デバイスが多様化し、複雑化してきていおり、コストも上がってきます。同時に、広告を中心としたメディアの収益はGoogleやFacebookのような巨大企業に偏っている状況にあります」とMendels氏。

ブライトコーブのマニフェスト

そのような状況に対応すべく、2017年のはじめ、ブライトコーブはメディア企業のために、3つのポイントを軸としたマニフェストを作った。

第1は、ユーザーエクスペリエンスを大幅に向上させること。

例えば、動画を見るための待ち時間は短ければ短いほどいい。ブライトコーブはYouTubeなどの他の主要なサービスよりも短縮し、さらに軽量化と高速化を図っている。また、広告による待ち時間を短縮するために、CSAI(クライアントサイド広告挿入)から、SSAI(サーバーサイド広告挿入)への移行を進めている。加えて、機械学習を含む、データサイエンスにも投資を行い、A/Bテストなども駆使しつつ、品質の維持向上を図っている。

さらに新しいエクスペリエンスの創造として、1年前から360度のフルサポートを行い、最近ではボストンで行われたPLAYにおいて、バーチャルリアリティをさまざまなデバイスで提供することを発表した。また、機内や電車内など、無線環境の整っていない環境に対応すべく、オフラインビデオのサポートも開始した。

マニフェストの第2は、売上を50%以上増やすこと。

SSAIによるユーザーエクスペリエンスの向上によってローエンドのデバイスへのリーチを増やすとともに、視聴時間を増やし、そしてアドブロッカーの回避が可能となる。ニュージーランド最大のメディア企業であるメディアワークスでは35%の売上を上げることができた。ビデオクラウドを利用し、あらゆる局面でSSAIを使うことで、コストと複雑さを低減させることを目指している。

また、SSAIはベリフィケーションとビューアビリティという、広告主や広告会社にとって重要な問題の解決につながる。ブライトコーブは、ビューアビリティ解析のリーダー企業であるMOATおよびインテグラル・アド・サイエンスの2社と協業する。

マニフェストの第3は、コストと複雑さを50%以下にすることである。

いくつかの話題があるが、まずはダイナミックデリバリーと呼ばれる、動画配信の新しいアーキテクチャーを紹介する。

伝統的な配信の仕方では、ビデオソースをさまざまな受信のデバイスに合わせて、異なるビットレート、フォーマットに変換して行っていた。そのため、新しいデバイスが出たり、ビデオフォーマットの改訂が行われたりすると、その都度再変換しなければならなかった。

それに対し、ダイナミックデリバリーは、ソースを一旦中間フォーマットに落とし、それをパッケージしてJITエンジン(Just-In-Time)でリアルタイム配信するため、柔軟性が高く、フォーマットを再変換しなくて済むため、コストが削減できる。

ダイナミックデリバリーのアーキテクチャー

ダイナミックデリバリーのアーキテクチャー
(※画像クリックで拡大)

続いては、コンテクストに応じたエンコーディング(Context Aware Encoding)と呼ばれる特許出願中の新しいテクノロジーである。

これは、ニュースを読み上げるキャスターのように動きが少なく背景が固定的な映像とフットボールのように動きがあって背景も変わる映像など、映像のコンテクストによって、符号化のビットレートを変えることでエクスペリエンスを損ねることなく効率化を図り、コスト削減につなげる、もしくは同じコストでより高品位の動画を配信することが可能になる。コンテクストの判断は自動化されており、機械学習(AI)による膨大な量の動画の分析をもとに行われる。

下の図にはコンテクストに応じたエンコーディングによるアダプティブビットレート(ABR:受信環境によって最適化されたビットレート)と従来型のABRの違いを模式的に示したものだが、コンテクストに応じたエンコーディングはより高品位の画像を、速度を損ねることなく配信(同じコストで品位を上げる)することができることがわかる。

コンテクスト識別エンコーディングによるABRの比較

コンテクスト識別エンコーディングによるABRの比較
(※画像クリックで拡大)

続いてのソリューションは、昨年からAccedoとの協業により開始した、OTTサービス向けのOTT Flowである。OTTサービスは開始に到るまで、さまざまな環境に適合させようとすると、かなりの時間を要した。OTT Flowは小規模な企業、ニッチなコンテンツを持つ企業でも短期間でサービス開始できるように作られている。

イギリスの放送局Channel 4ではWalter Presentsという新しいサブスクリプションモデルのビデオ・オン・デマンドサービスを立ち上げるに際し、OTT Flowを利用して図にあるようなさまざまなデバイスで利用できるようにした。費用はそれほどかけずに、6週間以内の短期間でサービスを開始することができた。

OTT Flowを使って立ち上げたChannel 4のサブスクリプションVODサービス

OTT Flowを使って立ち上げたChannel 4のサブスクリプションVODサービス
(※画像クリックで拡大)

ライブ動画配信は今年力を入れている分野の1つである。ライブ動画はもっとも急速に人々の利用が進んでいる。簡単で、パワフルなライブ動画の配信・編集ができるように、ブライトコーブでは、Brightcove Liveという製品のベータテストを開始した。

この製品はスケーラブルであり、APIベースなので、放送システムなどと柔軟に統合することができる。また、マルチフォーマットの動画配信はもちろんのこと、クラウドベースのデジタル録画、クリッピング、DRMサポート、それからSSAIなどの多彩な機能を組み込んでいる。

今年1月、Brightcove Liveのβ版を使ってオーストラリアテニス協会とセブン・ウエスト・メディアはオーストラリアン・オープンを配信した。16チャネルを使い、35カ国への配信が行われ、400のクリップが生成された。VODサービスも容易に行える。4時間以上の試合時間となった、オーストラリアン・オープン男子決勝の終了後1時間以内に、プレミアムサービスを開始することができた。

企業およびマーケター向けの利用

「以上説明してきたテクノロジーは、メディア企業の利用のみならず、一般企業、あるいはマーケターにも同じように応用可能です。多くの企業は動画を狭く捉えがちです。Eコマースに使おう、とかイベントの動画をホームページで配信しよう、という考えももちろんOKですが、それだけではありません。コミュニケーション活動のあらゆる局面で利用できますし、ブランドマーケティングにも使えます。企業の一部門での利用、プロジェクトによる利用に限らず、企業全体で戦略的に活用できるのです。IT部門によるサポートを受けつつ、デマンドジェネレーションにも、社員教育にも、人事部門による入社したばかりの社員のオリエンテーション利用などにも有効です」とMendels氏。

事例として挙がったうちの1社がsas(解析ソフトのリーダー企業)だ。同社はマーケティングツールの中核として、カスタマージャーニーのあらゆる段階で、sasフォーラムというライブストリーム配信のイベントなどに活用している。また。セールス部門の幹部も見込客のエンゲージメントと高めるための主要なセールスツールとして動画を使っている。さらに、会社の重要な取組について、役員が社員と一体化するためのコミュニケーションツールとしても動画を利用している。

動画の力をより高めるために

Mendels氏は、動画の力を高めるために必要な4つのポイントを挙げて、スピーチを締めくくった。

  1. 単に動画を見る、ということを超えて、エンゲージメントを高めるような体験を創出すること
  2. トラッキングやアナリティクスをあらゆる段階で取り入れること
  3. 動画を自社サイトだけでなくソーシャルに展開して、幅広いリーチを得ること
  4. ネットワーク上、最小の影響で済むようなセキュリティを提供すること

ブライトコーブはそのいずれにおいても最新のソリューションを用意し、そのいくつかを会場でアナウンスし、デモを行った。

例えば、2年前、Brightcove AudienceをPLAYで発表し、誰がどれだけ視聴したのかを把握し、それをマーケティングオートメーションシステムに取り込めるようにした。今年は、そうしたことが必要ない分野でも活用できる(例えば、社内教育のビデオを誰がどの程度見ているのかについて把握できる)ようにしたAudience Profiles機能を含むEnterprise Video Suiteという新製品の発表を行った。

 

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