効果が上がるB2Bでの動画活用

――ブライトコーブ主催「PLAY 2017」レポート第2弾「B2B動画最前線」

2017/09/29
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ブライトコーブ主催のイベント「PLAY 2017」については、“Morning Blockbuster”の内容をレポート第1弾でお届けした。続く第2弾では「B2B動画最前線」と題された事例紹介のセッションを紹介したい。
スピーカーは日本HPの甲斐博一氏、HDEの水谷博明氏、モデレーターはブライトコーブの大野耕平氏だ。

左から、ブライトコーブ 大野耕平氏、日本HP 甲斐博一氏、HDE 水谷博明氏

左から、ブライトコーブ 大野耕平氏、日本HP 甲斐博一氏、HDE 水谷博明氏

ここでは、2社の取り組みをそれぞれのスタンスを踏まえて再構成し、レポートする。

このセッションで大野氏が引き出したかったのは、B2Bにおいて動画が持つ力だ。動画の価値がどのようなものであるのかということと、どのようなコンテンツを用意すればよいのかということ。それらのヒントを探るのがこのセッションの目的である。

 

<HDEの動画活用事例>

HDE 水谷博明氏

HDE 水谷博明氏

背景:営業の潜在顧客をケアする

HDEは、B2BのITサービス業を営み、その主力はHDE Oneという自社開発のグループウェア向けクラウドセキュリティである。社員は約160名。その15%は外国人で、グローバル展開も行っている。

ターゲット企業は、Google G Suite (旧:Google Apps)やOffice 365といったグループウェアを導入している250人以上規模の会社という極めて限定的なセグメントである。そのため、アウトバウンドコールによってアポイントを取得し、営業担当が訪問して商談をさらに先に進めるかどうかを判断するというスタイルとなる。

そこでの課題は、ターゲットが狭いにもかかわらず、商談化につながらないリード(潜在顧客でもあり「捨てリード」ともいえる)が蓄積されることだ。それをカバーするための仕組みとして、インサイドセールスに人的リソースを割り当て、MAツール(Marketo)を導入した。Salesforceと合わせて、以下のようなシステム構成になっている。

HDE システム構成

(※画像クリックで拡大)

マーケティング担当が営業担当をサポートするために必要なことは、営業のステイタス把握だ。活用するデータは、顧客が導入しているグループウェアの種類、既存システムの更新時期、営業の活動記録などである。入力は営業担当の仕事だが、当初はなかなか入力してもらえなかったという。そこで、インセンティブとして営業担当に意味のあるアラートメールを送るようにしたところ、ほぼ100%入力されるようになったそうだ。

動画の利用法:セミナー動画を丸ごと活用

営業をバックアップするコンテンツ供給は、主に次の3点で課題を抱えていた。

  1. ホームページのコンテンツを量産するリソースがなかったこと。
  2. ウェブコンテンツやホワイトペーパーによるアプローチからは、なかなか有効なリードにつながらないこと。
  3. 上記のようなコンテンツに対するユーザーの興味深度がわかりにくいこと。

こうした課題に対して、動画コンテンツを利用することにした。仮説として立てたのは、動画は時間を消費し、オフィスという環境で閲覧するにはそれなりのハードルがあるため、閲覧者はコンテンツに対する関心が高いだろうということ。それはすなわちサービスへの興味の度合いの高さにつながり、動画閲覧者は質の高いリードになりやすいだろうと考えた。ターゲットの興味深度については、ブライトコーブのVideo Marketing Suiteを利用することで、その動画視聴ログから何をいつどのように見たかなどを捕捉できるので、そこから判断できる。

コンテンツは、自社が毎月主催しているセミナーを活用することにした。セミナーを丸ごと動画にして配信すれば、課題であるリソース不足は克服でき、工数をかけずに量産可能だという目論見もあった。

セミナーは1回およそ1時間。当初は編集せずにそのまま配信していたが、それではほとんど見てもらえない。そこで、いくつかのセクションに分かれている1時間のセミナーを、セクションごとに切り出すことにした。つまり、1つのセミナーを分割して数個のコンテンツにするわけである。その場合、1時間のセミナーをプレイリストとして視聴することもできるが、お客さまの関心の高い部分に特化して届けることもできるようになった。

結果として3ヵ月で約40本の動画を量産、格納することができた。

効果:セールス活動のハードルが下がる

動画だけの貢献というわけではないが、動画配信後、訪問したことのない所へのアポイントの獲得率が5%から15%に上がったことと、商談化の件数が2.5倍に増えたことが定量的な効果として大きい。

動画が確かに効果的だということは、定性的にも捉えられている。動画を見ていただいたお客さまとは、インサイドセールスで電話をかけている担当者と会話が弾むことが顕著になったのだ。セールスの入り口のハードルが一気に下がる、という実感として受け止められている。

今後:営業が主体となって動画を届けるプログラムを作る

セールス活動は、あくまで営業担当が主役だ。マーケティング担当は、動画を組み合わせたいくつかのストーリーを作成するが、それらをどのお客さまにどう届けるかについては、営業が判断し実行する。お客さまが望んでいる情報を届けた結果として、HDEのサービスの採用確率が高まるのではないかという仮説に基づき、今まさに取り組んでいる最中だ。

営業着火型 半自動化キャンペーンプログラム

(※画像クリックで拡大)

 

<HPの動画活用事例>

日本HP 甲斐博一氏

日本HP 甲斐博一氏

背景:オフィスからPBXがなくなると、ビジネスのスタイルが変わる

HPは誰もが知る、PCを中心としたIT機器のサプライヤーであり、ソリューション企業でもある。甲斐氏はB2C、B2Bの両方のマーケティングに関わる立場にあるが、いずれにおいてもファネルの上段のブランディングと下段のデマンド醸成を近づけるということがマーケティングの課題だ。

最近の取り組み

(※画像クリックで拡大)

動画配信も含め、B2Bでのデジタルマーケティングに本格的に取り組むようになったのがおよそ2年半前。Windows XPのサポートが終了し、営業リソースを縮小しながら成果を上げていかなければならなくなったという状況があった。

また、B2Bビジネスの主な舞台は、企業のオフィスである。今後、オフィスがどうなっていくのかを考えたとき、「色々な人がどこでも働く」というビジネススタイルが広まる中で、物理空間としての企業のオフィスは「家ではできないことができる、コラボレーションの空間」となる。動的に人が入れ替わるオフィスで、これからは固定電話、直接的にはPBX(交換機)がオフィスから消えてゆくだろう。そうしたときに、相手先(の固定電話に)電話をかけてアポイントを取って出かける、というスタイルは早晩なくなるであろうことが、デジタルマーケティングによって営業をサポートする動機となった。

動画を使う:見てもらえる長さをデータで検証する

システム構成については、HDEと大きくは変わらない。そして、なぜ動画を使うのか、ということについての1つのポイントは、エモーショナルコネクション、平たく言えばPCなど毎日接するHPの製品に愛着が生まれるようにしたいということである。

これはB2CであろうがB2Bであろうが変わらない。商品を選ぶのは人である。だから人に働きかけるのだ。営業リソースが限られている中、対面営業を補完、代替するものとして動画がある。動画でしか見せられない動きや話があり、それによって感情に働きかけることができる。そして、お客さまの興味関心が即座にわかる、というのがデジタルのいいところだ。また、離れたところにいても、同じものを見て共感、感動できる、というメリットも動画配信にはある。

ブライトコーブのソリューションを使うと視聴データが取れるので、そこから経験的に得たことは、まず、見てもらえる動画の長さはせいぜい2分半であるということ。10分のままでIndexをつけただけでは効果はなかった。2分半以内に圧縮できれば完全視聴率が高く、離脱率も低い。また、オフィス内では音声が消される可能性が高いので、字幕を入れることで離脱を防いでいる。

効果:リード発掘とナーチャリングの両面で効果的

効果は、端的に表現できる。ブライトコーブ導入後2ヵ月で、リード発掘という点では、サイト視聴者からのリード案件発掘率が15%上昇した。また同じ時期のナーチャリング効果として2ヵ月で11回以上視聴した会社からの案件勝率が30%上昇した。

今後: 統合環境から機械学習へ

B2Bのデータは、オンラインだけでなく展示会で取得したものなどオフラインからのものもある。そうしたデータを統合してビジネス判断ができるように、プラットフォームを進化させたい。今はまだマニュアルが介在しているが、できる限りの自動化を進めたいとも言う。

それから、エモーショナルコネクションを考えると、お客さまが見たいと思える動画を届け、通勤の電車の中でも見てもらいたい。今のところ、なかなか動画をスマートフォンで見てもらうのは難しいが、それが実現するとB2BはB2Cにより近づく。そうしたことの布石として、SNSとの連携強化をしていきたい。

将来的な話としては、個々のお客さまにより適切な動画を提供することは、データ蓄積とディープラーニングによって進化させられると考えている。そして、固定電話がなくなったオフィスで、電話を使って行ってきたことを代替する手段として動画とAIをどう組み合わせていくかも課題の1つとのことだ。

将来展開

(※画像クリックで拡大)

 

イベント名:PLAY 2017
イベント日時:2017年7月14日
場所:The Ritz-Carlton Tokyo
講演名(パネルディスカッション):B2B動画最前線
登壇者:甲斐博一(株式会社日本HP)
    水谷博明(株式会社HDE)
    大野耕平(ブライトコーブ)― モデレーター

 

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