世の中にあふれる「○○○マーケティング」というコトバ

2017/10/20
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文:椎葉 宏

世の中には、「メールマーケティング」「ソーシャルメディアマーケティング」「動画マーケティング」「コンテンツマーケティング」など、さまざまな「○○○マーケティング」というコトバがある。

「今でもメールマーケティングは有効な施策だ」「これからは動画マーケティングの時代だ」というように使われおり、そのような使い方が間違っているわけではないだろうが、そのような主張を耳にするたびに、マーケティングコミュニケーションの全体像の中で、どのような視点からの話なのか、どの部分の話なのかを整理できないかと考えていた。今回はそれら「○○○マーケティング」というコトバを、フレームワークを使って整理してみたい。

マーケティングコミュニケーションを設計する際には、
 (1) Why? — 何のために(目的)
 (2) Who? — 誰に(ターゲット)
 (3) When? — いつ(タイミング)
 (4) Where? — どこで(メディア/チャネル)
 (5) What? — 何を(コンテンツ/クリエイティブ)
という要素を具体的に決めていくことになる。
(2)~(5)は、まとめて「How? — どのように(手段)」と言える。

(※画像クリックで拡大)

このフレームワークで考えると、「メールマーケティング」「ソーシャルメディアマーケティング」などは、上記のうち
 (4) Where? — どこで(メディア/チャネル)
を「メール」や「ソーシャルメディア」に限定したものと考えることができそうだ。

つまり、メール、ソーシャルメディアを活用し、
 (2) Who? — 誰に(ターゲット)
 (3) When? — いつ(タイミング)
 (5) What? — 何を(コンテンツ/クリエイティブ)
を組み合わせることで、
 (1) Why? — 何のために(目的)
の実現を目指すのが、「メールマーケティング」「ソーシャルメディアマーケティング」というように整理できる。

例えば、メールを活用して、
 (2) Who? — 見込客リストに対して
 (3) When? — ○月○日に
 (5) What? — キャンペーン内容
を送ることで、
 (1) Why? — キャンペーンの応募者を増やす
というような施策が考えられるだろう。

一方で「コンテンツマーケティング」「動画マーケティング」などは、
 (5) What? — 何を(コンテンツ/クリエイティブ)
の部分を中心に考え、他の要素である
 (2) Who? — 誰に(ターゲット)
 (3) When? — いつ(タイミング)
 (4) Where? — どこで(メディア/チャネル)
を組み合わせて、
 (1) Why? — 何のために(目的)
を達成する、というように考えられる。

 

ここであらためて、
 (1) Why? — 何のために(目的)
に対して、
 (2) Who? — 誰に(ターゲット)
 (3) When? — いつ(タイミング)
 (4) Where? — どこで(メディア/チャネル)
 (5) What? — 何を(コンテンツ/クリエイティブ)
が組み合わさって「How? — どのように(手段)」となっていることに注目すると、一般的には、「目的」を実現するための「手段」なので、「目的」の方が重視されがちなのはわかるが、「目的」の方が「手段」よりも重要だ、と簡単に片付けてしまうのは少しもったいない気がする。

実際には「手段」がなければ「目的」は果たせないわけだし、「手段」をヒントに「それなら、こういうことができるかも?」と「目的」を設定するという方法も成り立つだろう。

火星に行くためには宇宙船が必要、と考えるか、宇宙船があれば火星に行けるかも、と考えるかの違いだ。

特に、現代は、デジタル関連技術の進化が速く、新たな
 (4) Where? — どこで(メディア/チャネル)
が次々に登場し、そのことが、
 (2) Who? — 誰に(ターゲット)
の生活環境や行動様式の変化の速さにつながっている時代であり、新たな「手段」を意識することで、これまでと同じ「目的」を別の「手段」で実現することや、新たな「手段」によりこれまでには無い「目的」を設定することなどが可能になるかもしれない。

具体的には、広告を出稿するのではなく、コンテンツを充実させ、検索エンジンからの誘導を強化することで見込客を獲得したり、MAツールを活用した施策で、これまで判別できなかった層に働き掛けて顧客化を促進したり、ということなどが挙げられる。

・「目的」を意識して「手段」である施策を企画、実行する。
という正攻法だけでなく、
・「手段」について日頃から情報を集め、これまで実現する方法が無かった「目的」を設定できないか考える。
という「手段」からのアプローチもぜひ試してみていただきたい。

 

ちなみに上述のフレームワークで考えると、「BtoBマーケティング」は、
 (2) Who? — 誰に(ターゲット)
が「法人」の場合のマーケティングであり、「アンバサダーマーケティング」は、アンバサダーに
 (4) Where? — どこで(メディア/チャネル)
としての機能を担ってもらうものと考えられるのではないだろうか。

一方で、「デジタルマーケティング」については、
 (4) Where? — どこで(メディア/チャネル)
を「インターネット」や「ウェブ」としたもの、と定義するのは狭すぎるだろう。それならば「インターネットマーケティング」「ウェブマーケティング」というコトバで十分表現できる。

では、「デジタルマーケティング」とは何なのか、一つの切り口、考え方として参考になるかと思うので、こちらの『デジタルマーケティングの教科書』の書評を読んでいただければと思う。

 

記事執筆者プロフィール

株式会社スペースシップ 代表取締役 椎葉 宏(Hiroshi Shiiba)

 

株式会社スペースシップ 代表取締役 椎葉 宏(Hiroshi Shiiba)

京都大学経済学部卒業後、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループ、ネットエイジ(現ユナイテッド)事業開発担当執行役員を経て、2000年11月にアルトビジョン(2012年に3社統合し、現チーターデジタル)を設立。アルトビジョンでは、各業界トップレベルの企業のメールマーケティングを、戦略、クリエイティブ、オペレーション、システムの各面から支援。2013年4月より、スペースシップにおいてデジタルマーケティングの戦略立案から実行支援までを行っている。

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