デバイス利用の経年変化(2016年版)――デジタルマーケティングはモバイルファーストが当たり前の時代に

2016/12/09
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今やスマートフォンは広く一般に普及し、スマートフォンに対応していないウェブサイトは時代遅れと見なされるようになった。すでにデジタルマーケティングにおいて「スマートフォンに対応しない」という選択はありえないが、そこからさらに発展してモバイルファーストで考えるべき時代がやってきた。
モバイルファーストとは、たとえば、これまではPC用のウェブサイトをレスポンシブにしてスマートフォンでも閲覧できるようにしていたところを、これからはまずスマートフォンなどモバイルデバイスでのユーザー体験を優先したインターフェースにするといったようなことだ。

スマートフォンからのインターネットの利用増加に伴い、これまではPCでの利用が一般的だった動画サイトやECサイトもスマートフォンからの利用が増え、PCでの利用を上回る状況も見られるようになった。
今回は、そうしたここ数年のデバイス利用状況の変化をデータで追いながら、これから企業がとるべきマーケティング戦略について考察してみたい。

フィーチャーフォンからスマートフォンへ

まず、2012年~2015年の4年間で、各デバイスの利用状況はどのように変化してきたのだろうか。全年代と年代別におけるそれぞれの推移を見てみたい。

・総務省「平成27年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」
http://www.soumu.go.jp/iicp/chousakenkyu/data/research/survey/telecom/2016/02_160825mediariyou_houkokusho.pdf

経年モバイル機器などの利用率(全年代)

(※画像クリックで拡大)

全年代
・2012年、スマートフォン利用率は32.0%と、フィーチャーフォン利用率69.7%の半分にも満たなかった。
・2013年、前年に比べスマートフォン利用率は大きく伸びてフィーチャーフォン利用率をわずかに上回った。
・2014年、2015年とスマートフォン利用率はさらに伸長した。
・フィーチャーフォン利用率はスマートフォン利用に押され減少した。
・タブレット利用率は毎年徐々に伸長している。

経年モバイル機器などの利用率(年代別)

(※画像クリックで拡大)

年代別
・20代のスマートフォン利用率は2012年時点ですでに半数を超えていたが、2015年には95.4%にまで伸びた。
・30代は49.0%(2012年)から88.4%(2015年)に、40代は28.8%(2012年)から84.5%(2015年)に、それぞれ伸長した。
・50代では、2012年にはフィーチャーフォン利用率がスマートフォン利用率に比べ圧倒的に大きかったが、2015年にはほぼ同率となっている。
・60代は2015年も依然フィーチャーフォンが優位であるものの、スマートフォン利用率は年々増加している。

2015年の段階では、10代から40代は80%以上がすでにスマートフォンを利用しており、50代では約半分、60代では20%強となっている。今後は、シニア層がどの程度の勢いで伸びるかが注目すべき点だろう。

PCを超えるモバイルからのインターネット利用時間

・総務省「平成28年版 情報通信白書」
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/pdf/n5200000.pdf

主な機器によるインターネット利用時間と行為者率

(※画像クリックで拡大)

 

インターネット利用時間の変化をみると、人々が生活の中でインターネットに触れる機会が増えていることがわかる。特にモバイルからの利用機会の増加が顕著だ。

平均利用時間は、全年代経年で見ると、モバイル、タブレットが増加傾向にある。特に、休日のモバイル利用時間が顕著に長くなってきている。
年代別に見ると、10代及び20代のモバイルネット利用の平均利用時間の長さが突出しているが、前回調査と比べると、平日の場合、30代及び40代の平均利用時間が長くなっている点が目立つ。

ここまで順調に続伸してきたモバイルだが、今後はどのように展開していくのか、予測データを見てみたい。

・国内モバイル/クライアントコンピューティング市場 2015年~2019年の稼働台数予測(IDC Japan 2015/11/26発表)
http://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/20151126Apr.html(現在はアクセス不可)

国内モバイル/クライアントコンピューティング市場 製品別 稼働台数予測 2013年~2019年

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上記の予測データのとおり、このままさらにモバイルからの利用が増加していくとすると、これからもますますモバイルファーストの考え方は重要になっていくだろう。

なおGoogleは、現時点で導入時期を明らかにしていないものの、検索結果の主要インデックス基準をPC向けページからモバイル向けページに変更する「モバイルファーストインデックス」への移行を計画中と公式発表しており、このことからもすでに先手を打って対応を進めることが望ましいタイミングに差しかかっていると言えるだろう。※1

動画サイトやECの利用もPCからスマートフォンへ移行

以前はPCからの利用が一般的だった動画サイトやECサイトについても、ここ数年で、電車の中やちょっとした待ち時間を使ってスマートフォンから利用する様子が目立つようになった。
主要動画サイトや、主要ECサイトでは、スマートフォンからの利用者数やECの流通額がPCを上回るケースも見られる。

(1)YouTubeの「ビデオ/映画」カテゴリ(ニールセンが独自に分類)における利用状況の推移

・ニールセン調査「オンラインショッピング/動画サイトはスマホへシフト~ニールセン インターネット利用のPCからスマホへのシフト状況を発表~」
http://www.netratings.co.jp/news_release/2014/03/Newsrelease20140326.html

・ニールセン調査「YouTubeのスマートフォンからの利用者は3,000万人超 ~ニールセン、「ビデオ/映画」カテゴリの最新利用動向を発表~」
http://www.netratings.co.jp/news_release/2015/02/Newsrelease20150224.html

「ビデオ/映画」カテゴリ全体 利用者数推移

(※画像クリックで拡大)

・2013年初頭、スマートフォンからの利用者はPCからの利用者の約2/3ほどだったが、2013年中に徐々に利用者数を伸ばした。
・2014年1月、スマートフォンからの利用者はPCからの利用者とほぼ同数に。
・2014年1月から2015年1月までのわずか1年で、スマートフォンからの利用者はPCからの利用者を約1,000万人上回った。

スマートフォン自体の大画面化・高性能化はもとより、高速なモバイル通信規格(LTE)の普及によるモバイル動画視聴の利便性向上が、視聴者の拡大を後押ししている。※2
企業のプロモーション活動においてインターネット上で動画を展開する際には、PCだけではなく、モバイルデバイスでどのような動画閲覧体験を提供できるかも十分に考慮すべきだろう。

(2)主要ECサイトのモバイル比率

大規模ECサイトであるAmazonや楽天でも、今やスマートフォンからの利用はごく当たり前の光景になった。当記事の2014年版でも触れたように、Amazonのスマートフォンからの利用者数は2014年2月にPCからの利用者数を上回っている。同様に楽天市場でも、2013年12月にスマートフォンからの利用者数がPCからの利用者数を上回っている。※3

・楽天「2016年度第1四半期決算短信」
http://corp.rakuten.co.jp/investors/documents/results/

楽天市場 モバイル流通総額比率

(※画像クリックで拡大)

楽天が発表している2014年からの四半期ごとのモバイル経由流通総額比率の推移をみると、2014年第1四半期の38.5%から毎期徐々に上昇し、2015年第3四半期には50%を超えている。また、1年間でみると毎年10%ずつ上昇しており、2016年度末には70%近くになることが予想されている。
今後、ECサイトにおいてもモバイルの重要性はますます高くなっていくだろう。

まとめ

企業のマーケティング活動において、スマートフォンを中心に据えた戦略を描くのはすでに必須と言える状況になっている。モバイル利用の急速な拡大に伴い、ごく近い将来モバイルファーストが当たり前になるこのタイミングで、いち早くそれを意識し、心地良いユーザー体験を提供することが、ブランド価値を引き上げ、中長期的なビジネスの成功へと繋がるカギとなるだろう。

<参考文献、参考データ>
※1 海外SEOブログ「Googleがモバイル ファースト インデックスを導入予定、影響は?対応は?
※2 総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(平成27年度第3四半期(12月末))」p1
Deloitte トーマツ「世界モバイル利用動向調査 2014」p23
※3 ニールセン「オンラインショッピング/動画サイトはスマホへシフト~ニールセン インターネット利用のPCからスマホへのシフト状況を発表~

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