朝日放送は、テレビCMの効果をウェブ広告と掛け合わせて拡大することを目指し、テレビ放送の視聴ログなどさまざまなデータを活用した実証実験を開始する。商用化に向け、2016年2月1日から1年間実施予定だ。
国内初の仕組みで、これまで実現できなかった検証を行う
この実証実験では、LAN接続されているテレビ受信機に蓄積される朝日放送のテレビ番組やCMの実視聴ログデータに加え、番組ウェブサイト、スマートフォンアプリなど同社が保有するさまざまなサービスへのアクセスログデータを活用。これにより、テレビ視聴をきっかけとしたウェブ広告配信の有効性検証や、テレビ視聴が直接的、間接的にウェブ広告へ及ぼす影響力など、従来では実現できなかった検証を行うことができる。
地上波のデータ放送通信機能を利用した実視聴ログ取得から、インターネット上でのウェブ広告の配信や相乗効果の測定をするという一連の仕組み(下図)は、国内では初めての取り組みとなるという。
あらゆる方法で、ウェブ広告との相乗効果を最大化したい
朝日放送は、今回の実証実験を通じた視聴者の反応や利用状況、ウェブ広告配信によるインターネット上でのテレビ番組やCMの効果補完の有効性を検証し、本格提供に向けてサービス内容の改善を図る予定。上の概念図に記載されたDMPやDSPの部分についても、既にいくつかの事業者と連携を進めているという。同社の東京支社コンテンツ事業部デジタル・ビジネス ユニットの久田理氏は、「広告主の複雑化した要望に幅広く応えられるよう、効果や有効性をさまざまな角度から検証したい」と語る。
現在、放送業界は地上波放送・衛星放送を含めた視聴環境の変化、スマートフォン・タブレット端末の普及によるテレビ視聴形態の変化など、大きな変革の中にある。動画を活用したマーケティングや動画広告への関心も需要も急激に増していると言える状況だ。
同社は、広告主向けのマーケティング施策の開発にとどまらず、ウェブ広告との相乗効果を最大化するため、「より良質なコンテンツの制作」「視聴行動に基づく、より便利な視聴者向けサービス開発・提供」を柱に、地上波放送に新たな価値を提案していく。