カンター・ジャパンは、日本の数億円規模の大型ブランドキャンペーンについての調査データを分析し、複数メディアを組み合わせることで生まれるシナジー効果や、Facebook広告がもたらす態度変容効果の活用法などについての報告を行った。
同社の調査でFacebook広告に態度変容効果があることが明らかになるなど、デジタル広告の有用性が実証されてきているが、日本の大型キャンペーンにおけるデジタル予算比率は、未だメディア予算全体の1割ほどにとどまっている。
メディア予算の75%を占めているのはテレビだが、ターゲットの多くに適度な接触頻度でキャンペーンを浸透させ、さらに認知のみならず、その先の意向、行動といった態度変容を目的とするならば、デジタル予算比率を増やし、テレビなどのオフラインメディアにFacebookなどのデジタルメディアを最適な形で組み合わせていくことが重要という見解を示した。

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デジタルを含めた複数メディアへの接触で、より深い態度変容を促すことができる
テレビやFacebookなどそれぞれのメディアが単独でもたらす広告効果を態度変容のファネル別に見ると、テレビは認知に、デジタルメディアは意向、行動とより深い態度変容に効果があるとわかる。デジタルの真価は態度変容でこそ発揮されるということだ。

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さらに複数メディアから広告に接触することで、意向、行動といった深い態度変容を効果的に促すこともできるという。
広告効果のうち、メディア単独接触による効果と、複数メディアへの接触で生まれるシナジー効果のそれぞれの態度変容における割合を調査したデータによると、シナジー効果の占める割合は、認知では21%、意向では40%、行動では64%と、態度変容のファネルが深くなるに従い大きくなることがわかる。これは、認知が飽和しているような成熟ブランドのキャンペーンでは特に重視したい点だ。

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Facebookがもたらす態度変容効果を最大化するために
行動喚起においては、デジタルメディアの中でもFacebookの投資対効果が高いという結果を得ている。理由として、Facebookは9割がモバイルからの利用で場所を問わないため、購買行動の近くで広告をリーチさせて購入を後押ししやすいこと、Facebookは手持ち無沙汰なときやリラックスしているときなど広告にエンゲージしやすい心理状況下で利用されていることが挙げられるようだ。

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また、Facebookユーザーの82%は、平日1日の中でテレビとFacebookのどちらも利用している。平日1日におけるテレビとFacebookの時間帯別利用状況を見ると、テレビのプライムタイムである夕食時のあとの時間帯ではFacebookとテレビの併用が増え、1日の最後である就寝時にはFacebookの単体利用が増えている。
この状況を踏まえてプランニングすれば、夕食時にテレビで一度広告に接触したあと、リラックスしている時間帯に再度Facebookで広告に触れることで、より強固に広告の印象を記憶させるというシナジー効果が期待できるという。

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このように認知から意向、行動と、より深い態度変容を効果的に促すには、オフラインとデジタルの両メディアを駆使していくことが重要である。デジタルメディアの投資対効果の高さや、デジタルメディアの消費時間が今後さらに増えていくことも考えると、メディア予算比率を最適化するためにもデジタル予算を増やす余地は十分にあると言えそうだ。
なお、カンター・ジャパンの提供する分析レポートはこちらより閲覧可能。