文:深谷歩
10代、20代の情報収集活動がそれより上の世代と比べて大きく変わってきている。特に、検索行動が変わってきており、行きたい場所、食べたいもの、買いたいものなどは、Instagramから気になるタグを検索して、画像やコメントから判断するという人が増えている。Instagramは、雑誌感覚で眺めて、自分もお気に入りのものを投稿するというようなコミュニティになっている。
月間アクティブユーザーが5億人を超え、国内でも若年層の注目が集まるにつれ、Instagramアカウントを運用する企業が増えている。かつて、Instagramは一人1アカウントによる運用だったが、複数アカウントの登録が可能になり、アカウントを共有して運用することもできるようになったことも、企業の活用を後押ししている。
Instagramは、Facebook経由で広告配信ができる。今回は、Instagram広告の設定方法について紹介する。
Instagram広告を配信するには
Instagram広告は、Facebook広告管理ツールから作成・配信する。Instagramの広告を配信するには、Facebookページが必須で、Instagramアカウントは必ずしも必要ではないことに注意したい。
設定方法は、基本的にFacebook広告と同じだ。ただし、広告の目的については一部Instagramに対応していないものもある。Facebookの広告マネージャーから選択できる広告の目的のうち、以下のような目的がInstagram広告として配信できる。
・Facebookの投稿を宣伝
・ウェブサイトのアクセスを増やす
・ウェブサイトでのコンバージョンを増やす
・アプリのインストール数を増やす
・アプリのエンゲージメントを増やす
・動画の再生数を増やす
・ブランドの認知度をアップ

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なお、目的に「Instagramのフォロワーを増やす」というような項目はないが、フォローしていない人に広告が表示されると「フォローする」というボタンも表示されるため、フォロワーの増加も期待できる。
Instagram広告を設定するには、「広告セット」の「配置」で「Instagram」を選択する。Facebookなど他にも配信するかどうかは任意で選択できる。ターゲット、予算と掲載期間は、Facebook広告の設定と同様だ。ターゲティングでは、性別、年齢、地域、興味・関心などFacebookと同様に細かい指定ができるのは強みだ。

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「広告」の「フォーマット」、「メディア」で配信する画像を指定できる。

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Instagram広告の場合、画像の表示を「横向き」「正方形」を選択でき、トリミングすることができる。

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「ページとテキスト」では、広告のテキストやリンク先を指定できる。ここで、関連付けるFacebookページとInstagramアカウントを指定する。Instagramアカウントの関連付けは必須ではないが、Facebookページと関連するアカウントがあるなら登録しておくと、フォロワー増につながる。

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見出し、テキスト、アクションボタンを設定すれば、広告の作成は完了だ。「注文を確定する」で広告を注文でき、Facebookによる審査のあと配信が開始される。Instagram広告の審査は、Facebookと同じ広告ガイドラインによって審査される。以前は、画像に占める文字の割合が20%以上だと審査が通らなかったが、2016年6月にルールが変更されて、文字の割合が多くても審査は通るようになった。しかし文字が多いと広告リーチが少なくなるので、文字量は最低限にするのがおすすめだ。
広告の配信結果を確認する
広告の注文を確定すると、広告マネージャーからパフォーマンスを確認できるようになる。

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配信の詳細は、以下のように配信効果を確認できる。グラフの下で表示される表の項目は、「カスタム」からカスタマイズできるので、必要な情報を表示するとよい。

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利用者データをクリックすると、リーチした人のデモグラフィックデータを確認できる。

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Instagram広告のポイント
Instagram広告は、Facebook広告を使ったことがある方にとっては、その延長のような形で利用できる。
ユーザーは広告に対しても、「いいね」やコメントをつけることができ、広告だと感じさせないような画像やメッセージを入れれば、自然なエンゲージメント、フォロワー増加が期待できる。
反対に、「いかにも広告」という素材を使うと嫌われて、否定的な反応もされてしまう。特に、いわゆるコンプレックスを刺激するような写真(太った人の写真、肌荒れの写真など)は、Instagramでは見たくないクリエイティブの筆頭だ。ダイエット系、美容系は、コンプレックス系ではなく、美しくなった後の写真を使うほうが効果的だ。
なお広告は、配信を停止すると表示されなくなる。Instagramの場合、Facebookの投稿の宣伝のように、普通の投稿として作成したものを広告でブーストさせるというようなことができないので、広告でたくさんのエンゲージメントを獲得したクリエイティブが、残らないことはあらかじめ知っておきたい。
まとめ:まずは試してみよう!
最近、Facebook広告の仕様が変わり、最低限の予算金額の上限があがってしまった。ただ、配信後いつでも停止できるので、Instagram広告の効果を見てみたいという場合は、少しの期間、試すのがよさそうだ。
ターゲットにあったよいクリエイティブができれば、そこからフォロワー増加、自社サイトに誘導するといったことができる。ファッションの着こなし、メイクアイテム、調理器具など、欲しい気持ちを喚起させるような写真を投稿して、そのままECサイトに誘導すれば、購入行動の促進にもつなげられるなど、いろいろな可能性を秘めている。
記事執筆者プロフィール
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深谷歩 株式会社 深谷歩事務所 代表取締役 |