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2016年10月24日、ブライトコーブ主催の「HapYak インタラクティブ動画セミナー」が都内で開かれ、ブライトコーブが現在の動画活用のトレンドを、HapYakがインタラクティブ動画の活用をテーマに講演を行った。今回は前編として、ブライトコーブの講演内容をレポートする。
両社は、ブライトコーブのVideo CloudとHapYakのテクノロジーを連携させ、インタラクティブ動画に関するサービスを提供している。
動画マーケティングの最新トレンドは、インタラクティブ動画とMA連携
登壇したのは、ブライトコーブのシニアセールスディレクターである北庄司英雄氏だ。北庄司氏は、動画活用の最新事例を挙げながら、最新のトレンドについて紹介した。
ブライトコーブは、世界に5,000社以上の顧客企業をもつオンライン動画業界のリーディングカンパニーで、オンラインビデオプラットフォーム事業として動画専用のコンテンツマネジメントシステム(CMS)をクラウドで提供している。なかでもマーケティングに注力しており、動画の管理再生はもとより、動画ポータルの作成やライブ配信、ソーシャルへの配信、コンバージョンの計測・解析などの機能が一つになったBrightcove Video Marketing Suiteというサービスを中心に展開している。

現在、動画活用の目的はマーケティング以外にも人材採用やEラーニング、営業支援など多岐に広がっている。一方、動画の目的を考えずに制作している企業もまだまだ多いという。「動画にも、目的に沿ったROIの指標を持たせ、配信と分析をしっかり回していくことが必要です」と北庄司氏。
動画マーケティングにおける最新のトレンドの一つは、インタラクティブ動画だ。これを使えば、視聴者は単に動画を閲覧するだけでなく、動画上に表示されるボタンから買い物をしたり、動画視聴中に問われる質問へ動画上で回答したりと、アクションを起こすことができるようになる。つまり、動画上で企業と視聴者、双方向のコミュニケーションが可能になるというものだ。
動画とマーケティングオートメーション(MA)の連携も大きな潮流となりつつある。動画専任のポジションを置く一般企業も増えてきた。
ブライトコーブはサービス拡大にあたり、自社で提供しているビデオプラットフォームに、インタラクティブ動画であればHapYak、MAであればEloqua、Marketo、Salesforceといったパートナー企業のサービスと連携し、それぞれの企業の強みを活かすビジネスを展開している。
HTML5への移行により、広がる動画の可能性
ブライトコーブは、動画マーケティングを進める上での一つの方法として、これまで制作した動画を集めて自社のビデオポータルをつくることを提唱している。
DIY用品を中心としたホームセンター事業を展開するThe Home Depotは、これまで制作した動画を集め、ハウツー動画専用の自社ポータルを立ち上げた。それを通常の接客や、サポートセンターに問い合わせた顧客に案内するなど、カスタマーサポートに活用することで、営業効率が上がったという。動画ポータルには現在、1~2分の長さの動画が1万本程度掲載されている。
動画の配信環境は現在、FlashからHTML5に移行しているという。HTML5では、動画再生後の関連動画の表示、次の動画への自動遷移、動画の全画面表示などといった技術の組み込みやカスタマイズが、Flashに比べとても簡単になった。その実際の例を、北庄司氏はいくつか挙げて説明した。
ダイソンが提供するヘアドライヤーの紹介ページでは、アクセスするとウェブページが表示されると同時に動画が再生され始め、訪問者がページ下部に記載された商品説明にスクロールして動画部分が隠れると動画は一時停止する。そしてページ上部に戻り動画が表示されると、動画は再開する。こういった仕組みも、HTML5で作成することができる。
また、360度動画もHTML5で実行しやすくなったものの一つだ。オーストラリア政府観光局が運営する動画コンテンツでは、美しい自然をよりリアルに感じてもらうことでオーストラリアへのインバウンドを促すよう、360度動画を取り入れている。360度動画は、制作ツールも安価になってきたことで、より身近になってきている。
HTML5におけるカスタマイズで、コンバージョンを意識した例では、ショッパブルビデオと呼ばれる動画がある。これは動画とカートが連動し、動画に出てきたものを欲しいと思ったタイミングで、すぐにカートに入れて買うことができるというものだ。これは、ある種のインタラクティブ性を持った動画といえる。
アメリカで流通事業を展開するTargetでは、カートとファッションショーのランウェイの動画を組み合わせ、ランウェイに出てきたものをその場で買うことができるサービスを行っている。
OPEN8が運営するLeTRONC(ルトロン)は、「動画マガジン」と銘打ち、動画とテキストを組み合わせたコンテンツ記事を掲載している。動画の領域を含むページ上部から、閲覧者がページ下部のテキストへスクロールして動画が隠れると同時に、動画ウィンドウが右下に現れる仕組みで、テキストを読ませながら動画も見せるというユニークな構成となっている。
北庄司氏は「これらはすべてHTML5により、実装が簡単になりました」とまとめた。
動画のROIを高めるために
動画の評価指標として、「再生回数」と「いいね」はよく聞かれるが、それよりも重要なのは「最後まで再生されたのか」(完全視聴)と「そもそも動画自体再生されているのか」という視点だ。完全視聴率を上げるための施策として、視聴者がどこで離脱し、どこで巻き戻し、どこで早送りしたのかをすべて分析して、動画のテンポや声のトーンも含めた映像クリエイティブの検証を行ったこともあるという。
コクヨチャンネルを運営するコクヨでは、どういったクリエイティブにすれば完全視聴率が上がるのかについて、独自でデータを蓄積している。例えば、動画の前フリ、つまり本題に入るまでの長さの違いによる離脱率の変化や、サムネイルの違いによる再生率の変化などだ。サムネイルについては、動画の中からピックアップした場面を設定するか、別に用意した画像を設定するかで比較したところ、前者の方が動画の中の情報がわかりやすかったためか、再生率が高い結果となった。
また、MAと連携させれば、誰が、いつ、どの動画を、全体の何%まで見たかがわかるようになり、これらのデータから、例えば、動画を87%まで見たのであればホワイトペーパーを送る、94%ならば営業が電話をかけるなどといった、ユーザーの視聴状況などに応じて営業のアプローチを変えるということが可能になる。
北庄司氏は、YouTubeも活用すべきと説く。その理由は3つあり、(1)すでにたくさんの視聴者がいること、(2)シェアされやすい環境であること、(3)無料であることだ。
「ただ、著作権、所有権がGoogleに帰属すること、自社サイトにYouTubeの動画プレイヤーを掲載すると、視聴者はそこからYouTubeに流出してしまい、自社サイトにはもう戻らない可能性があることなどもしっかり考えておきたい」と続けた。
最近広がってきているFacebookやTwitterでの動画配信については、自社サイトからこれらソーシャルメディアに向けて配信するという主従関係をしっかり押さえておくべきと語った。
最後に北庄司氏は、「今後の動画マーケティングは、動画をどう使っていくか、データをどう活用していくかが非常に重要になってくる。特にこれから動画活用を始めるという方は、継続させるためにどうするかを考えていってほしい」と述べ、セッションを締めくくった。
【後編に続く】