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2016年10月24日、ブライトコーブ主催の「HapYak インタラクティブ動画セミナー」が都内で開かれ、ブライトコーブが現在の動画活用のトレンドを、HapYakがインタラクティブ動画の活用をテーマに講演を行った。前編に続いて、今回は後編として、HapYakのキール・モートン氏が紹介したインタラクティブ動画の効果や海外の活用事例をレポートする。
インタラクティブ動画が持つ3つの機能
HapYakはブライトコーブと同じくボストンに本社を置くスタートアップ企業で、インタラクティブ動画のテクノロジーを開発・提供している。ブライトコーブのVideo Cloudと連携し、両社はこれまで24社以上の顧客に対して、マーケティング、Eコマース、広告、Eラーニング、コーポレートコミュニケーションなどの分野で協業してきた。
「インタラクティブ動画で得られるメリットは、使い方によって異なります。インタラクティブ動画の機能を、海外の事例も交え、いかにビジネス上の結果を出すのかという視点でご紹介していきます」と、モートン氏。これまで動画はただ見るだけのものだったが、今日、動画から得られるエクスペリエンスは非常に重要になってきているという。

インタラクティブ動画の機能は主に、「CTA(コールトゥアクション)」、「チャプターと分岐」、「クイズとサーベイ」の3つに分類される。
一つ目の「CTA(コールトゥアクション)」はショッパブルビデオなどで使われる。これは、動画の中で紹介される製品やサービスなどを、動画上に貼られたリンクから直接調べたり、買い求めたりできるというもの。このリンクを動画に組み込むだけでクリック率は3~4倍上がるという。現在あるインタラクティブ動画の平均的なクリック率は12%。これは、ウェブページのコンテンツでは信じられないほど高い数値だ。
今までは、製品やサービスの詳細を見る、購入するなどCTAの部分は動画と別になっているのが当たり前だったが、これらを動画の上に実装すれば、購入に至るまでのステップを短縮することができる。「シンプルですが、これだけでユーザーエクスペリエンスは良くなり、結果につなげることができます」と、モートン氏は自信を持つ。
CTAは、最適なタイミングで、最適なクリエイティブのものを、最適なターゲットに表示するパーソナライズ化も可能だ。
二つ目の「チャプターと分岐」は、エンゲージメントを高める方法として有効だ。エンゲージメントの指標は、何分動画を見たかといった「時間」ではなく「行動」を見る。例えば、2分間ウェブページをじっと見ているよりも、能動的に何かをクリックしてその先のコンテンツを見ていくということの方がずっとエンゲージメントが高いと言える。これは企業にとっても、クリック数が測定しやすくユーザーの行動もはっきりと見えるため、成果につなげやすいことが利点だ。
また、視聴者が一つの選択を行うと、それよって表示するCTAを変えるなど、個人に合わせてカスタマイズすることもできる。
PCメーカーのLenovoでは、トレーニング用の動画にチャプターを導入している。動画上にホーム画面を設置し、そこから各チャプターを再生できるという仕組みだ。受講者が見たいチャプターを自らクリックして閲覧することで、能動的で効率的な学習に貢献している。
三つ目の「クイズとサーベイ」は、企業が視聴者に対して動画の中で質問をし、それに回答してもらうというもの。これにより、アンケートの平均返答率が65%上昇した。例えば、製品やサービスについての動画を閲覧している視聴者に、動画を一時停止してポップアップを出し、製品やサービスのどんなところに関心があるかなどを質問することができる。注目したいのはここで会話ができるという点だ。動画を見ている途中で突然質問を投げかけるのは印象が良くないと思われるかもしれないが、実際はこれまで一方向でしかなかった動画の視聴体験が、会話になることで関心を持ちやすくなり、それによってエクスペリエンスは変わってくる。大学などでも、Eラーニング、トレーニングという分野で多く使われている。
上記3つの機能を組み合わせれば、質の高いデータの取得や、パーソナライズ化が実現できる。まずCTAによりクリック数をトラッキングでき、チャプターではどの項目に関心があったか、さらに投げかけた質問への回答により、製品やサービスのどういった点に関心があるのかも知ることができる。これらのデータをMAに落とし込むことも可能だ。HapYakはすべての機能をAPIで統合できるようにしている。
ブライトコーブは自社でも、HapYakが提供するこれら3つの機能とMAを組み合わせてパーソナライズ化を行い、営業活動に役立てている。ブライトコーブでは、クライアントに送るメールにアカウントマネジャーを紹介する動画を組み込み、動画上で表示されるフォームから問い合わせができるようにしている。クライアントや紹介するアカウントマネジャーが誰かによって、フォームやアクションの出し分けも行い、問い合わせにつなげている。
「動画は、コミュニケーションにおいてデジタルの中ではもっとも効果的な手法。そこにCTAを設けるのは当然の展開で、そこがベースラインになると考えています」。ブライトコーブとの協業は、ブライトコーブの持つ巨大なプラットフォームを活かし、世界中のどこでもHapYakのインタラクティブ動画テクノロジーを使えるようにするためだ。さらにHapYakはAPIを公開することにより、導入企業が自分たちのブランドに合わせ、自由にカスタマイズして利用できるようにしているという。
インタラクティブ動画の海外活用事例
「ここで、インタラクティブ動画を使用した事例をいくつかご紹介します」とモートン氏。
製薬会社Janssenは、糖尿病の薬剤Invokanaを動画で紹介する取り組みを行った。ターゲットは高齢者だったため、当初インタラクティブ動画はうまく機能しないのではと危惧されたが、結果的に全視聴者のうち50%がチャプターをクリックするなどインタラクティブな行動を起こした。CTAについては、予想段階では12%だったにも関わらず、20%がクリックしていた。この成功を受け、Janssenは今後さまざまな製品でこれを導入するという。

次に紹介されたのは、サプリメント販売会社のHerbalifeにおける、BtoB向け Eコマースの事例だ。まず通常の動画をランディングページに取り入れたところ、コンバージョンが上がった。次にメールのキャンペーンでも動画を使用したところ、開封率が上がった。さらにインタラクティブ動画を使ってABテストを行うと、動画内CTAがページ内CTAと比較して9倍となった。
インタラクティブ動画では、動画上に表示されるCTAのクリエイティブや表示タイミングのパターンを変えるなど、CTAのクリック率を上げるためにさまざまな運用を行ったという。そのなかで最も効果的だったのは、動画の最初、中盤、最後の各タイミングにCTAを入れるという方法だ。最初に表示したのは「ORDER NOW」と、文字による注文を促すCTA。中盤では別のCTAに変え、最後は最初と同じCTAを再度表示した。
これを10日間のキャンペーンで実装すると、売上は2倍になった。同社はこの成功を受け、クレジットカード決済も動画視聴中に行えるようにする、つまりショッピングのエクスペリエンスを動画のみで完結させるということを決めた。

福音派エバンジェリコのホープチャンネルでは、視聴者に寄付金をしてもらうために、動画内にCTAを組み込むことにした。その際、対象として200もの動画があることが課題だったが、HapYakがオペレーションも支援することにより、30分ほどで実装を完了できたという。これによりクリック率は、ページ上にCTAがある場合と比べて5倍になり、結果的に寄付を増やすことができた。このとき、データ解析はHapYakの提供するものではなく、使い慣れているGoogle Analyticsで行いたいという希望があったため、GAとの統合も行った。

また、モートン氏は360度動画についても言及し、「非常に新しくて面白い。来年は相当普及していくだろう」とした上で、「技術上などの問題はまだいくつかある。それに対し、HapYakはブライトコーブと連携して新しいソリューションを出すことができました。ブライトコーブのビデオプレイヤーにプラグインを追加するだけで、360度のエクスペリエンスを得るのみならず、インタラクティブに使うことができるというものです」と続けた。
「インタラクティブ動画は高度な技術ですが、簡単に実装できるようテンプレート化して提供しています。インタラクティブな360度動画も、いずれは導入先企業がインハウスで簡単に制作できるようにしていきたい」と展望を語り、モートン氏はセッションを締めくくった。