Marketoは、Eloqua(Oracle)、Pardot(Salesforce)、HubSpotなどと並んで、BtoB企業が多く利用しているイメージが強いかもしれない。

だが、実際に事例にあたってみると、顧客単価の高い業種を中心にBtoC企業での活用も非常に多いことがわかる。顧客単価が高い商品やサービスの場合、見込客は時間をかけて多くの情報を比較検討することになるため、企業側から見ると、リードナーチャリングやスコアリングにより、適切なタイミングでアプローチすることが重要となり、そのための機能に優れたMarketoが採用されていると考えられる。

以下に、BtoB企業、および、BtoC企業でのMarketo導入事例をまとめた。

BtoBでのMarketo導入事例

■VAIO

VAIOでは、2017年5月にMarketoを導入。それまでのマーケティングや営業活動は電話と訪問が中心だったが、事業拡大のために、効率化を求められ、MAを導入して良質なリードを増やすという次なるフェーズに進むことになったとのこと。
また、Salesforce CRMと連携し、メール、ウェブサイト、内勤営業、外勤営業といったコンタクトポイントを統合、顧客一人ひとりにあった営業・マーケティング活動を行う事で、さらなる事業拡大に取り組む。

 

■村田製作所

2013年にグローバルでMarketoを導入した村田製作所。導入4年目に差しかかる現在までの取り組みがまとめられている。
Marketoを「コミュニケーションツール」と考え、コンテンツを強化しつつ、Marketoでデータ分析、アプローチ最適化を実施し、ナーチャリングの成果を向上させた。
リードナーチャリングを「農耕」と捉え、デジタルな行動・属性スコアに加え、必ずアナログな人の経験による知見を踏まえて営業と連携することがポイントとしている。
最近では、新規市場や新規ターゲットへの認知拡大を重視し、Webパーソナライゼーション機能を活用し、オーディエンス拡張した広告配信などに取り組んでいる。

 

■Sansan

  • MA導入3ヶ月で新規獲得3倍と受注率10%UP!Sansanが徹底するマーケティングの『当たり前』
    https://bita.jp/dml/sansan_ma
    (BITAデジマラボ 2016/11/25)
  • Sansanが「半年で売り上げ2倍増」を目指しMarketoを導入、リード精査とPDCAサイクルの高速化により 3カ月で受注件数を1.5倍以上に
    https://jp.marketo.com/press/
    (Marketo プレスリリース 2016/6/8)
  • 「人を増やして売上を伸ばす」時代は終わった。Sansanが見据える、MAと「名刺」の未来
    https://seleck.cc/681
    (SELECK 2016/6/9)

クラウド名刺管理サービスを提供するSansanは、2016年1月からMarketoの運用を開始。
導入前は、リードDB管理ができておらず、リードデータに重複があるなど整理されていない状況だったが、導入を機に既存のCRMと連携させホットなリードを適切に選別。
営業がケアする顧客数を減らすことに成功し、以下の効果を得られたとしている。
・リードの精査により有効メール配信対象者数を2倍に拡大
・月間の新規獲得リード(見込客)数を約3倍に拡大
・本格運用から1カ月で受注率が10%増加、3カ月で受注件数が1.5倍に拡大

 

■Kaizen Platform

  • インバウンド受注「ゼロ」からの挑戦!Kaizen Platformのインバウンドマーケ
    https://seleck.cc/622
    (SELECK 2016/4/26)

半年前にKaizen Platformに入社した宮下毅氏は、実はMarketoが日本法人を作る前からのMarketoユーザーで、日本のユーザー会の初代会長も務めた人物。
アウトバウンド型のアプローチしかしてこなかった同社は、MA導入半年後から毎日インバウンドで見込客を獲得できるようになった。
最初に、商談やリードのデータを分析することで顧客と市場の全体像を把握した上で、Marketoのスクリプトの埋め込みと基本的なスコアリングを設定。スコアリングの利点は、コンテンツの貢献度を把握できることだとしている。
詳細なカスタマージャーニーマップは不要と考え、大まかな初期、中期、後期の3つのナーチャリングステージに分け、各ステージに適したコンテンツをバランスよく提供した。ブログの記事の総量が一定水準以上になった際に、問い合わせが増加したと分析している。

 

■パソナ

  • パソナがMarketoのマーケティングオートメーションを導入 多様化する顧客の課題に対して迅速に対応する体制を強化
    https://jp.marketo.com/press/
    (Marketo プレスリリース 2016/4/20)

総合人材サービスを提供するパソナはマーケティングの高度化を図るため、2016年4月より、Marketoと名刺管理サービスSansanを連携して顧客情報を一元管理。
同社は営業担当者によるきめ細かな対面での接触に強みを持っており、顧客の課題を解決する情報や事例の提供から、実際のソリューションの提案までを1つのプラットフォームで解決できるとしている。

 

■クレスト

屋外広告・サイン制作などの事業を行うクレストでは、Marketo導入により、ターゲットを絞り込んだ営業を行い受注率が約5倍に。オンラインでの行動量が多い見込客にキャンペーン製品のサンプルを送付。価格表は当該ページのURLを印刷しオンラインへ戻すユニークな手法で、有望な見込客を識別しクロージングへとつなげている。
同社の営業部門長は、売上を上げられないのは努力が足りないといった精神論から一転、効率重視の科学的なマネジメントが可能になったと手ごたえを感じている。

 

■GEヘルスケア・ジャパン

幅広い医療機器を提供するメーカー、GEヘルスケア・ジャパンは、2014年6月に、病院や医師に向けたデジタルマーケティングの社内基盤として、Marketoを導入した。
円滑な導入には、関連する社員全員が納得感を持つ必要があると考え、マーケターだけでなく営業担当者たちにも導入ワークショップに参加してもらったという。
導入の効果として、メールマガジンからどのようなコンテンツを見てウェブサイトを訪れるのかを把握できるようなり、よりリードジェネレーション型の配信ができるようになったという。

 

■アンリツ

アンリツでは、2014年10月に発足したインサイドセールス部門にて、2015年4月にMarketoを導入。
マーケティング部門と営業部門がそれぞれ保有していた顧客情報を統合し、コンタクト可能な潜在顧客が1.7倍に増加した。
マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスという業務プロセスの統合に役立ち、顧客の興味がある分野を絞り込んだ形でMQLを引き継ぐことで営業効率の向上につながっているとしている。

 

BtoCでのMarketo導入事例

■PVHジャパン

同社が輸入・販売する「TOMMY HILFIGER」の日本でのオムニチャネル構想の一環として、お客さまをおもてなしし、エンゲージメントを強化し、ブランド価値を高めていくためのマーケティング活動のプラットフォームとして、「Marketo」を導入。お客さまのライフスタイルの変化、価値観が多様化し、期待やニーズが複雑化していく中で、ユーザー一人ひとりのライフステージや購買チャネルなどを考慮した付加価値サービスの提供のため、メールやウェブパーソナライズを進め、お客さまとのリレーション構築を目指す。

 

■富士フイルム

オンラインプリントサービス「フォトブック」でMarketoを活用。フォトブック購入者を対象に、納品に合わせて個別にメッセージをメールで送信し、サービスのリピート利用を促進している。
結果として、メール開封率が300%増、リピート購入率が180%増などの成果を上げている。

 

■マネーフォワード

  • 40万ユーザー以上が使う、純増数No.1のクラウド型会計ソフトを提供するマネーフォワードがMarketoを導入・活用
    複数プロダクトを横断しリードナーチャリングを実施。有料会員への転換期間を1/2に短縮
    https://jp.marketo.com/press/
    (Marketo プレスリリース 2016/10/14)

運用開始後、約半年間で得られた効果として、以下を挙げている。
・ 有料会員に転換するまでの期間が半分に短縮
・ 利用状況に合わせたフォローアップメールにより、金融機関登録率(有料会員転換へのKPIの1つ)が2割改善
・ 複数プロダクトでのリードナーチャリングにより、組織を横断し優良見込客が増加
・ 見込客データとSFA(Salesforce)との連携による生産性向上
・ マーケティングツール利用のスキルに関わらず組織横断し複数メンバーで利用

 

■IDOM

  • 中古車販売実績No1.のガリバー、店舗とデジタルの連携強化のためMarketoを導入
    来店後、成約前のお客様へ細やかなフォローアップメールで成約率は2倍へ
    https://jp.marketo.com/press/
    (Marketo プレスリリース 2016/9/28)

車の買取・中古車販売を主要事業とし、対面販売とネット販売を組み合わせ、国内トップシェアを誇るIDOM(旧ガリバーインターナショナル)は、オムニチャネル化推進の一環としてMarketoを導入。
来店後の購入決定率の改善を目標とし、来店後、成約前のお客さまに対し、きめ細やかなフォローアップメールを実施したところ、約4カ月の運用で成約率が約2倍になったとしている。

 

■グロービス経営大学院

  • 学校法人グロービス経営大学院が受講生一人ひとりに寄り添うサポートを実現するため Marketoを導入
    「創造と変革を担う志士」とのエンゲージメント構築、PDCAサイクルの高速化により約1年でメール経由での学校説明会申込者数が2倍に
    https://jp.marketo.com/press/
    (Marketo プレスリリース 2016/8/5)

次世代リーダーの人材育成に取り組むグロービス経営大学院は、受講検討者や在学生、卒業生などとの、一人ひとりに寄り添った対話型のコミュニケーションを強化することを目的にMarketoを導入。
2015年4月から運用し、1年間で以下の効果を得られたという。
・Marketoでのメールマーケティング施策により、メール経由での学校説明会申込者数が2倍に増加
・Marketoの広告連携機能により、Facebook広告のCPAが50%に低減
・従来は多大な時間を要していたターゲティングが数分で実行可能になり、かつ精度も向上
・リードライフサイクルの見える化や、ABテスト、メール開封/クリックなどの効果測定が簡単にできるようになり、PDCAを高速で回すことが可能に
・最先端のデジタルマーケティングツールを、スモールスタートで小さな成功体験を繰り返しながら、段階的に自社で活用していくことが可能に
・東京校やオンラインMBAプログラムで効果的だった施策を、名古屋・大阪などと他拠点に簡単に展開することが可能に

 

■ライフネット生命保険

  • Marketoのマーケティングオートメーションがライフネット生命保険で導入
    メール、電話、Web、パンフレットを統合した クロスチャネルマーケティング
    展開へ取り組み開始
    https://jp.marketo.com/press/
    (Marketo プレスリリース 2016/4/25)

ライフネット生命保険は、クロスチャネルマーケティングへの対応能力と、セキュリティ水準を高く評価し、Marketoを導入。
メール、電話、Web、パンフレットの4種類を統合したクロスチャネルマーケティングを高度かつ効率的に展開していくために活用している。
導入後、パーソナライズと自動化による効果が確認でき、直近資料請求者へのアプローチ率が75%向上、また製品の使いやすさから施策数が1.5倍に急増したとしている。

 

■日本エスリード

2014年7月にMarketoを導入。
スマートリスト機能を活用することで、セグメンテーションのための業務量を1/4に軽減。
ペルソナに即したメールマーケティングを実践している。
リードからの成約率が3%から5%へと向上。分譲マンション販売という顧客単価の高いビジネスであるため、概算24億円の貢献に。

 

なお、Marketoの概要については、以下の記事が非常にわかりやすい。

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