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文:森田裕美
2017年3月16日、シンフォニーマーケティングとブライトコーブの共催セミナー「BtoBマーケティングで成果を出す仕組みをつくる〜MA(マーケティングオートメーション)と動画を活用したデジタルマーケティングについて〜」が都内で開催された。
講演では、シンフォニーマーケティングから、BtoBマーケティングにおけるデマンドセンターと動画の活用事例が、日本オラクルから、マーケティング・オートメーション製品である「Oracle Marketing Automation (以下、Oracle Eloqua)」の活用方法が、ブライトコーブから、動画マーケティングとOracle Eloquaとの連携で可能なことが紹介された。
今回は、レポート第2弾として、日本オラクル クラウドアプリケーション事業統括 マーケティングクラウド本部の本間美夏氏による「Oracle Eloquaのちょっと面白い使い方 – データをもっと活用するためのアイデア集 –」というテーマで紹介されたOracle Eloquaの機能と活用方法について報告する。
リードナーチャリングのプラットフォームとしてのOracle Eloqua
展示会で集めた名刺に対してすぐに営業担当者が営業活動を行うのではなく、まずはマーケターが見込顧客の属性情報および行動情報を取得しながら育成(ナーチャリング)を行い、最もホットな見込顧客、すなわち確度の高い情報だけを営業に渡していく。Oracle Eloquaは、このようなリードナーチャリングを行う際に力を発揮するプラットフォームだ。
リードナーチャリングの流れは、以下の通りだ。
- 見込顧客の様々な属性情報、行動情報をEloquaに取り込む。
- 適切なタイミングで適切なメッセージを送る、というようなナーチャリングのシナリオを描く。
- シナリオにしたがってリードナーチャリング(見込顧客の育成)を実行する。
- あらかじめ設定した見込顧客の定義に基づき、スコアリングを実施する。
- 見込顧客を数値で可視化し、確度の高い見込顧客を判別する。
- ホットな見込顧客の情報を営業に渡す。
Oracle Eloquaではオンラインのフォームで取得できる顧客の属性情報と、ウェブサイト上の訪問履歴、メールの開封やクリック、動画の視聴などの反応履歴のような行動情報の2つの軸のデータを活用する。
また、オフラインのセミナー参加申込履歴、はがきのキャンペーン応募履歴といった紙ベースで取得できるデータなど、マルチポイントでのコンタクト情報、もEloquaに取り込んで活用していくことが可能だ。
Oracle Eloquaの高度な機能をご紹介

(※画像クリックで拡大)
1)プロファイラー機能で可視化される見込顧客の行動履歴
Oracle Eloquaのプロファイラー機能は、ウェブサイトに専用タグを設置することで、見込顧客が自社のウェブサイトのどのページを訪問したのかということを個人単位で可視化をすることが可能になる機能だ。
例えば、Aさんという人が見込顧客だとすると、Aさんのウェブサイト上での行動履歴、メールの反応履歴、フォームへの入力履歴、動画の視聴履歴などを過去30日、6カ月、1年以内という単位で見ることができる。
さらにアラート機能もあり、Aさんが自社のウェブサイトに訪問した際に、今まさに訪問していることを関係者にメールで通知することもできるため、営業担当は見込顧客が興味ある情報などを確認しながら接客をすることも可能になる。
2)ソーシャルメディアとも連携可能なOracle Eloqua
オラクルには、ソーシャルメディア(Facebook、Twitter、LinkedInなど)の統合管理、モニタリング、リスニング、分析を行う製品(Oracle Social Cloud)がある。Oracle Social CloudとOracle Eloquaを連携させることで、ソーシャルでの行動もOracle Eloquaのプロファイラーの行動の一部として取り込むことが可能だ。
本間氏は、「ソーシャルとは言っても、BtoBのお客さまだと企業のメールアドレスをソーシャル上で使っているとは限らず、データは紐付かないのでは?と思う方がいらっしゃるかもしれないが、ブラウザのクッキーベースで紐付いているため、ソーシャル上でどのメールアドレスを登録しているかということは関係ありません。同じブラウザで過去自社のウェブサイトに訪問し、フォームを入力したなど何らかの経験があり、ソーシャル上で何かしらの投稿やコンテンツをクリックしたことがあれば、プロファイラーの中にイベントとして取り込むことができるため、トラッキングが可能です」とし、BtoB企業におけるソーシャルメディアとの連携の有用性について説明した。
3)プログレッシブプロファイリング機能で段階に応じたフォーム情報の取得
続いて、オンライン上で属性情報を取得するときに使われるフォームのプログレッシブプロファイリング機能が紹介された。
例えば、資料請求の際、いきなり会社の売上規模、従業員数、年収、職種などの項目をすべて一度に入力してもらおうとすると離脱してしまう可能性が非常に高くなる。
そこでプログレッシブプロファイリング機能が役に立つ。この機能では、最終的に自社で取得したい情報の項目をあらかじめ設定しておき、1回のフォームでユーザーに見せる入力項目を2つに制限するというように設定することが可能だ。
1回あたりの入力項目を制限することでユーザーのハードルを下げ、さまざまな資料のダウンロードや問い合わせなど、何度もフォーム入力を繰り返していくうちに最終的に全入力項目を取得することになる。すでに入力されている項目は既存の値が表示されるため、更新する情報があれば変更を促すようなことも効果として期待できる。
4)オフラインデータも取り込み、外部アクティビティとして可視化
Oracle Eloquaでは、オフラインのデータ、セミナー参加データ、キャンペーンの情報などを外部アクティビティという形で取り込む方法もある。基本的にはCSVファイルをアップロードするだけだが、Oracle Eloquaの外部アクティビティとして情報を取り込むと、オフラインでの活動情報がプロファイラー機能の中にアクティビティデータとして認識される。例えば、申し込んでいたセミナーをキャンセルした、というようなオフラインの行動データが登録されるということである。これは、プロファイラー機能の中でアクティビティとして表示され、オフラインでの行動も合わせて見込顧客の一連の行動を営業担当が確認することが可能となる。
5)ダイレクトメールや販促品の発送にも活用
さらに、今後日本での活用も期待されるものとして、ダイレクトメールのアプローチや販促品の郵送を行っている海外のPFLという企業のOracle Eloqua連携サービスが紹介された。
例えば、Oracle Eloquaから配信したメールに反応しない、ウェブサイトにも訪問しないというお客さまに対しては、オフラインでダイレクトメールを送った方が効果的かもしれないという仮説が考えられるが、PFLと連携することで、仮説に基づいたシナリオの対象となったデータをPFL側に送り、ダイレクトメールを対象の方に送付する、という流れをつくることも可能だという。
DMや販促品を長く保存する、あるいは後に興味関心を持ってもらうというようなオフラインならではの効果も期待できるという意味では、オンライン/オフライン双方のチャネルからアプローチを今後考えていくことができるようになる。PFLは、日本では博報堂プロダクツと提携してサービスを開始するということなので、興味ある方はぜひ検討してみてほしい。
運用のポイントは、スコアリングを複雑にしないこと
セッションの最後では、Oracle Eloquaの特長のひとつであるスコアリングについて説明がされた。スコアリングは、属性情報と行動情報の掛け合わせによって見込の確度が高いお客さまを判断していくことができるが、本間氏によると、実際にスコアリングのモデルを考える際には困ってしまう担当の方が非常に多いという。
そこで、海外のOracle Eloquaユーザーの実際のスコアリングモデルの定義をいくつか集計をしてみると、属性情報の定義として最も多いのは「役職」、次いで「興味のあるソリューション」であり、これらの情報をフォームで取得し、その結果をスコアリングのモデルの条件として使用する企業が多かったという。また、行動情報で一番多かったのはある特定のウェブページの訪問、次いでフォームの入力だという。
これらの条件をかけ合わせスコアリングモデルを作成するが、運用がうまく行っている企業ではスコアリングモデル数の平均が1.88となっており、管理が煩雑にならないようシンプルにしていることがわかった。本間氏によると、多くても2〜3つぐらいに絞った方が活用しやすいため、あまり多く作りすぎないということを推奨しているということだ。スコアリングで悩んでいる担当の方は、スコアリングモデルをシンプルにしてみることを推奨したい。
見込顧客のオンライン、オフラインの属性情報と行動情報を取得し、それらのデータに基づきリードナーチャリングを行い、確度の高いお客さまをスコアリングで可視化し営業に渡していく、というデマンドセンターを構築する上で、Oracle Eloquaは強力なプラットフォームになりうる。
一方で、Oracle Eloquaはマーケティング・オートメーションの中でもエンタープライズ向けの製品というポジションで成長しており、豊富な機能を活用しきれていないという企業もあるという。日本オラクルでは、活用のためのサポートも行っているので、導入や活用に不安がある場合には相談してみるとよいだろう。
記事執筆者プロフィール
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森田 裕美(Hiromi Morita) プログラマからキャリアをスタートし、外資系企業でマーケティング・コミュニケーション業務全般を経験した後、ウェブ制作会社や広告代理店でウェブプロデューサーとして制作・広告プランニング・分析などを経験。2012年12月に日本初のインバウンドマーケティングエージェンシーであるマーケティングエンジンに参画、セールス&マーケティングを中心にHubSpotのコンサルタント、テクニカルサポート、プロダクトやマニュアルの翻訳などを経験。その後はフリーランスで企業のマーケティング・コミュニケーション業務のサポートやスタッフの教育を中心に、インバウンドマーケティングのサポート、取材やブログの執筆なども行っている。 |