文:椎葉 宏
法人向けに製品/サービスを提供しているBtoB事業を行っている会社の中には、大企業向けにプラントを数千億円で売っている会社もあれば、中小企業向けに数万円の商材を売っている会社もある。取り扱っている製品/サービスには相当な幅があり、当然、商材ごとにターゲットも異なってくる。
今回のコラムでは、BtoBマーケティングにおけるターゲット企業規模別のアプローチ方法の違いと、インターネットの普及がもたらしたBtoBでの購買行動の変化について整理した上で、BtoBマーケティングにおけるマーケティングオートメーション(MA)の役割についてまとめたい。
一般論としての企業規模別アプローチ
世の中には、従業員数が数万~数十万人の誰もが知っている大企業から、数名程度の小さな会社まで幅広く存在する。
BtoB事業では、企業規模と一社あたりの売上には相関があることが多い、つまり、企業規模が大きいほど(潜在的な部分も含めて)売上が大きく、企業規模が小さくなるにしたがって、売上は小さくなるのが一般的な傾向だろう。
一方で、中堅中小企業(SMB:Small and Medium Business)の数は非常に多く、大企業の数はそれに比べるとかなり限定される。
そうなると、すでに大口の取引があったり、これまでは取引がなくても、もし取引できれば大きな売上を見込めたりする大企業については、企業名をリストアップし、営業担当者を配置してフォローしよう、ということになる。
大企業に続く準大手企業の場合は、エリアごとや業界ごとに担当部署や拠点を決め、また、時には販売代理店としてパートナー企業を組織化するなどしてカバーすることが多いようだ。
中堅中小企業については、売上と、営業コスト(主には営業担当者の人件費)とのバランスが取りづらいことも多く、パートナー企業経由や、インターネット、電話、FAXというダイレクトチャネルを活用しようという動きが強まる。

大企業しかターゲットとしていない企業もあれば、中堅中小企業だけをターゲットにしている企業もあるし、大企業から中小企業まで同じ商材を売っている会社もあれば、企業規模ごとに商材をラインナップしている会社もあり、企業ごとにマーケティング~営業の仕組みづくりに工夫を凝らしている。
デジタルマーケティングの可能性
上記のように、中堅中小企業向けにはダイレクトチャネルとしてインターネットを活用することが考えられるが、大手企業や準大手企業に対してはデジタルマーケティングが役に立たないかというと、まったくそんなことはない。
以前であれば、製品/サービスを検討するかなり初期の段階で、まずは、すでに取引のある、または、以前から知っている企業の営業担当者に声を掛け情報収集するのが一般的だったかと思うが、インターネットがこれだけ普及した現在では、BtoBの調達担当者が最初に行うことは、インターネットを使っての検索と情報収集活動だ。
インターネット上の情報収集を終えた時点で、すでにある程度のスクリーニングが行われ、営業担当者の知らないうちにライバル企業との商談が進んでいるというようなことがアチコチで行われている可能性がある。
その「営業担当者には見えない購買プロセス」を把握し、可視化するために使えるツールが、MA(マーケティングオートメーション)である。

すでにメールアドレスを把握している顧客/見込客に対しては、送ったメールの開封/クリックの状況や、サイト訪問後のアクションなどを把握することができる。
また、担当者情報が取得できていない場合でも、匿名のAさんのサイト内の動きは把握できるし、リターゲティング広告を出すようなアクションも取れる。
もしホワイトペーパーのダウンロード、資料請求、問い合わせがあれば、そこで得られた担当者情報は、過去のサイト訪問履歴と紐づけることもでき、サイトをどの程度訪問していたか、どのようなページにアクセスしていたかなどの情報も得ることができる。
これらの情報をもとに、インサイドセールスや営業担当者のアクションにつなげることが可能だ。
国内でのMA導入事例
国内でもMA導入は増えてきているが、成果が出始めている企業となると、まだまだ限定的だろう。
BtoB企業での導入の多いMarketo、Eloqua(Oracle)、Pardot(Salesforce)、HubSpotの導入事例を以下のページにまとめているので、ぜひ参考にしていただきたい。
・MAツール導入事例まとめ[Marketo(マルケト)編]
――BtoBだけでなくBtoCでの活用も増加中
・MAツール導入事例まとめ[Eloqua / Pardot / HubSpot編]
――BtoB企業でのマーケティングオートメーションツール活用
MAツールの導入をまさに検討中、または、導入したが使いこなせていないという場合は、ぜひスペースシップまでお問い合わせいただきたい。
記事執筆者プロフィール
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株式会社スペースシップ 代表取締役 椎葉 宏(Hiroshi Shiiba) 京都大学経済学部卒業後、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループ、ネットエイジ(現ユナイテッド)事業開発担当執行役員を経て、2000年11月にアルトビジョン(2012年に3社統合し、現チーターデジタル)を設立。アルトビジョンでは、各業界トップレベルの企業のメールマーケティングを、戦略、クリエイティブ、オペレーション、システムの各面から支援。2013年4月より、スペースシップにおいてデジタルマーケティングの戦略立案から実行支援までを行っている。 |
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