文:椎葉 宏
「コンテンツマーケティング」とは?を説明する際、よく引用されるのは、米国Content Marketing Instituteの以下の定義だろう。
Content marketing is a strategic marketing approach focused on creating and distributing valuable, relevant, and consistent content to attract and retain a clearly defined audience — and, ultimately, to drive profitable customer action.
コンテンツマーケティングとは、価値があり適切で一貫したコンテンツを制作し配信することにフォーカスする戦略的なマーケティング手法であり、明確に定義した読者を引き寄せ、関係性を維持し、最終的には利益に結びつく顧客行動へとつなげるものである。
要するに、ターゲットとなる見込客/顧客と、ブランド/商品との間をつなぐものはコンテンツであり、そこにしっかりと目を向け、戦略的かつ継続的に取り組むことで、興味喚起、関係維持、購入促進、利益創出などの成果につなげるという考え方だ。
コンテンツマーケティングについて考えるためのフレームワーク
では、具体的にコンテンツの企画や制作を進める際にはどうすればよいだろうか?
そのために、コンテンツを2種類に分けて考えるフレームワークを紹介したい。
図2で、「知ってもらうためのコンテンツ」は、ブランドや商品のことを知らない人や、あまり関心がなかった人に、商品を知ってもらったり、興味関心を持ってもらったりするためのものだ。
そしてその後、「深く理解してもらうためのコンテンツ」により、ブランドや商品をより深く理解し、親しみを感じていただき、「よし、これにしよう」「また買おう」と思ってもらうことで、購入にまでつなげていくことができる。
知ってもらうためのコンテンツとユーザとの接点
知ってもらうためのコンテンツには、広く考えれば、TVコマーシャルや店頭のディスプレイも含まれるだろう。オンラインで言えば、ソーシャルメディアで話題になっている動画を見てはじめてその商品のことを知ったというような場合には、YouTubeに上げた動画が知ってもらうためのコンテンツとなる。また、何か困っていることがあってGoogleで検索した先のページが、企業側から考えると知ってもらうためのコンテンツとなる場合も多い。
この自然検索からの流入とその後の流れについて、具体的なケースで見てみよう。
例えば、Googleで「肌 乾燥 対策」と検索してみると、トップページには、CanCam、美的、Oggi(小学館、強い!)などのメディアサイトと並んで、メーカーであるロート製薬のECサイトやKracieの肌美精のページが表示される。
これらがまさに「知ってもらうためのコンテンツ」で、そこにはターゲット層の興味・関心のあるテーマに対する答えとなるコンテンツが用意されている。
深く理解してもらうためのコンテンツとその流入経路
次に深く理解してもらうためのコンテンツについて見てみよう。
先の例では、「肌 乾燥 対策」と検索したユーザは、知ってもらうためのコンテンツによって、肌の乾燥の原因やメカニズムを知り、気を付けるべきことを知りたいのだが、それと同時に、自然な流れで、その企業の商品情報にも触れることになる。
実際に、ロート製薬のページでは、最下部で「お肌が潤うおすすめ商品」として、「クレンジング/洗顔」「乳液」「化粧水」「クリーム」の各カテゴリの商品一覧ページへと誘導している。また、肌美精のサイトでも同様に、「ナイトスリーピングセラム」という商品の紹介と商品ページへのリンクが張ってある。
この遷移先ページこそが、深く理解してもらうためのコンテンツだ。
ロート製薬の場合は、「クレンジング/洗顔」の一覧ページでは8商品が表示され、さらに各商品の詳細ページへのリンクが設定されており、詳細ページでは効果や使用方法などの詳細情報を詳しく知ることができる。肌美精でも、ナイトスリーピングセラムの特徴、使用方法、成分情報などを見ることができる。
ここでは知ってもらうためのコンテンツから遷移する流れを追ったが、深く理解してもらうためのコンテンツへの流入経路はそれだけではない。
ロート製薬のケースだと、ECサイトからのリンクのほか、ロート製薬の商品情報サイトやブランドサイトなどオウンドメディアからもリンクされているし、メディアサイトなど外部サイトからのリンクや、ソーシャルメディアの投稿からのリンクなどもあるだろう。
また、商品名で検索(いわゆる指名検索やブランドワードでの検索)し、その検索結果からの流入も考えられる。当然のことながら、指名検索する人はすでにそれらの商品のことを知っている人に限られる。
つまり、ユーザの動きを考慮して図2をもう少し厳密に描くと、図3のようになる。
コンテンツマーケティングを推進する上では、各コンテンツをどのようにして見込客/顧客に知ってもらうかというタッチポイントも含めて考えることが重要になってくるが、コンテンツをその役割によって、知ってもらうためのコンテンツと深く理解してもらうためのコンテンツに分けると考えやすくなる。
すでにあるコンテンツを整理し、新たなコンテンツを開発するためのフレームワークとして活用していただければと思う。
記事執筆者プロフィール
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株式会社スペースシップ 代表取締役 椎葉 宏(Hiroshi Shiiba) 京都大学経済学部卒業後、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループ、ネットエイジ(現ユナイテッド)事業開発担当執行役員を経て、2000年11月にアルトビジョン(2012年に3社統合し、現チーターデジタル)を設立。アルトビジョンでは、各業界トップレベルの企業のメールマーケティングを、戦略、クリエイティブ、オペレーション、システムの各面から支援。2013年4月より、スペースシップにおいてデジタルマーケティングの戦略立案から実行支援までを行っている。 |
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