新型コロナウイルスの感染拡大防止策の一環として、テレワークを推進する企業が増え、その結果、ミーティングやセミナーのオンライン化が進んでいる。

このような状況下で、企業の注目を集め、利用者が急増しているのが、オンライン会議ツール「Zoom」だ。

Zoomは社内外との会議だけでなく、オンラインセミナー(ウェビナー)を開催することもできる。その際には、無料のミーティング用アカウントを用いて実施する方法と、有料のオンラインセミナーオプションを用いる方法がある。
今回は、その2通りについて、それぞれ何ができ、どのように違うのかについて解説する。

無料のミーティング用アカウントでできること

まずは、Zoom無料アカウントを使ってできることを列挙してみよう。

  • 登録フォーム作成
  • 申し込みの受付と受付完了メール送信
  • 40分間の開催
  • 100人までの参加
  • マイクとビデオのオン/オフ管理(ホストまたは参加者自身)
  • ビデオシェア(全参加者)
  • 参加者一覧の閲覧(全参加者)
  • 画面共有
  • チャット、リアクション、投票
  • ファイル転送
  • ホワイトボード
  • ライブストリーミング(Facebook、YouTubeなど)
  • 字幕
  • 記録
  • ブレイクアウトルーム
  • ウェイティングルーム
  • パスワード設定

以上のように、オンライン会議のための機能のうちの多くをオンラインセミナーでも活用できることから、無料アカウントでもセミナーを開催することは十分可能だ。

今後はじめてオンラインセミナーを行う企業は、まずは無料アカウントを活用して試験的に何回か開催してみることで、開催日時やセミナーの内容について「勝ちパターン」を見つけていくのがよいかもしれない。

次に、有料のオンラインセミナー用のオプションについて、無料版との違いに注目して見ていこう。

有料のオンラインセミナー用のオプションでできることと無料版との比較

Zoomのオンラインセミナー用のオプションは正式には「ウェビナーライセンス」と呼ばれている。
この「ウェビナーライセンス」はZoomの有料アカウント(プロ/ビジネス/エンタープライズのいずれか)を有している場合に購入することができるオプションだ。
価格は¥5,400/月※からとなっており、有料アカウントと合わせると¥7,400/月からオンラインセミナーツールを利用できることになる。
※「ウェビナーライセンス」は開催規模(参加者の人数)により料金が変わる。

無料アカウントのみでできることと有料オプションを付けた場合の機能の違いについて整理すると以下のようになる。

(※画像クリックで拡大)

有料オプションを使う場合の利点について整理すると次のようになる。

・セミナーの開催時間
1番の利点はセミナーを最大24時間まで開催することができるという点だろう。
無料アカウントでは40分までとなっており、もともと40分以上のコンテンツがある場合はもちろん、進行が遅れてしまった場合や不測のシステムトラブルなどを考慮すると心細い。

・参加者がセミナーに集中できる環境
無料アカウントを利用時でも参加者のビデオをホスト側でオフにすることはできるが、参加者一人ひとりのワイプが消えることはないため、ホストが共有した画面の表示が小さくなってしまう。一方、有料オプションであれば参加者側のビデオはシェアされない前提のため、ホストが共有しているものだけが表示され、参加者にとって見やすい画面になる。

参加者側から考えると、「音声やビデオがちゃんとオフになっているだろうか?」「設定が知らない気づかない間に変わったりしていないか?」といったことを気にする必要がないので、安心してセミナーに参加することができるだろう。

・開催前後のサポート機能
マーケティング活動の一環として行うのであれば、セミナー開催前のリマインドや終了後のフォローも重要となる。
有料オプションでは、参加率の向上を目的として、オンラインセミナー開催日前にリマインドメールを送信することができる。
また、セミナー実施後には、出席状況、セミナー中のエンゲージメント、Q&Aの内容についてのレポートを利用することもできる。

・有料セミナー開催
PayPalと連携することができるので、有料セミナーの開催も手間をかけずに行うことができる。

以上のように、無料のミーティング用アカウントを用いてのセミナー開催も可能だが、本格的にオンラインセミナーを行っていくのであれば、やはり機能が充実した有料のオンラインセミナーオプションを活用した方がよさそうだ。

一方で、既存の見込客/顧客リストの活用、リードナーチャリング(見込客育成)、インサイドセールスや営業との連携などマーケティング視点から見た場合には、Zoom以外のシステムを併用した方が高い効果を創出できるだろう。この点については、今後、別の記事で解説したい。

参照:
・プランと価格 – Zoom, Zoomサービスサイト, (最終閲覧 2020/6/29)
Zoom Video Webinars: FAQ, Zoomサービスサイト, (最終閲覧 2020/6/29)
ミーティングとウェビナーの比較 – Zoom ヘルプセンター, Zoomサービスサイト, (最終閲覧 2020/6/29)